[2023_06_08_02]原発の再稼働で電気料金は安くなるのか (下) (了) 原発発電事業の不良債権(「損害賠償費用」「廃炉等費用」等)を負担することのどこが「将来の投資」といえるのか 堀江鉄雄(東電株主)(たんぽぽ2023年6月8日) |
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◎<「規制料金」における総括原価問題> 今回の東電EPの値上げ申請は、「規制料金」の値上げ申請です。 つまり総括原価方式に基づく料金でなければなりません。 小売り電気料金の総括原価は「小売り事業に要する費用」です。分社化は、発電事業、送配電事業、小売り事業と分社化しました。 これは電力自由化における公平・公正な競争を促し電気料金を下げることを目的としています。 資料:「購入・販売電力料について4」資料6-1のP14には、 0041_06_01.pdf (meti.go.jp) 東電EPの「原子力PPA契約」を相対取引として ・いずれの契約(東電HD、日本原電、東北電力との:解説)についても、契約書原本等で契約の相手方との共同開発と認められ、人件費、修繕費や減価償却費等の原子力発電所を安全に維持管理する費用や、将来の稼働に向けた投資に要する費用についても、自社電源同様、負担する義務があると考えられる。 ・東電HDからの購入について、事業者から、柏崎刈羽の再稼働を織り込むことによる費用減が、再稼働に係る費用増を上回っているとの説明があった。 この点についてトータルで費用減に資するのであれば、料金原価を抑制する観点から、再稼働に係る費用を原価に算入することは合理的と認められるのではないか。 ・また、東海(原電/廃止措置中)については、現行原価に比べて原価が増加している。 その理由について、事業者から原子力発電施設解体費および原子力損害賠償支援機構一般負担金等の増加との説明があった。 これらについては、廃炉のために必要な費用として、合理的と認められるのではないか。とあります。 原発の費用を小売り事業の原価に算入することを認める理由は、 イ.共同開発であり、「将来の投資」であり自社電源同様に負担する義務がある。 ロ.再稼働に係る費用は料金原価を抑制する(卸市場調達より安価) ハ.損賠・廃炉等のために必要な費用も原価として認める、です。 イ.について「原子力PPA契約」は、共同開発で「将来の投資」になるのか? 東電EP長崎社長の提唱する「再エネ地産池消」は、「将来の投資」になると思います。これは「資金回収」が可能だからです。 「原子力PPA契約」には、二つの負担があります。 一つは、「原発発電に要する費用」です。この費用は、発電しないと回収できません。これまでの「実績(全く発電していない)」からして、これまでの費用負担(「過去分」は不良債権化)同様に「資金回収」の見込みはないのです。 ハ.について、二つ目は「原子力PPA契約」は、すでに不良債権となっている「損害賠償費用」「廃炉等費用」等の損失負担もすることになっていることです。 この損失は、原発発電事業の原価算入もできない「特別損失」なのです。 原発発電事業の不良債権を負担することのどこが「将来の投資」といえるのでしょうか。 ロ.について、「再稼働」すれば原価を抑制できるのか。 今回の申請は「再稼働に要する費用」だけを試算したもので、「原子力PPA契約」の「基本料金(固定費用)」は算入していません。 つまりイ.にしてもロ.にしても、これまで受電しなくても支払い続けた「基本料金」を抜きにしているのです。 この「基本料金」こそ原発発電事業者の「不良債権であり過去分」なのです。 これを小売り事業の「規制料金原価」に算入して「回収」するべきではなく、原発発電事業者の売電利益から「回収」するべきです。 以上、東電EPの「規制料金」値上げ申請から明らかになった「原子力PPA契約」の問題点です。 この問題点は、そのまま規制料金である「託送料金」の問題点に重なります。 |
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