[2020_04_25_02]トリチウムの健康被害について 水素として細胞の核に取り込まれる 西尾正道さん (北海道がんセンター名誉院長)(たんぽぽ舎2020年4月25日)
 
参照元
トリチウムの健康被害について 水素として細胞の核に取り込まれる 西尾正道さん (北海道がんセンター名誉院長)

 トリチウムについて、西尾正道さん(北海道がんセンター名誉院長)が書かれたわかりやすい記事を紹介します。

〇 世界各地の原発や核処理施設の周辺地域では事故が起こっていなくても、子供たちを中心に健康被害が報告されており、その原因はトリチウムだと考えられます。
 特にトリチウムを大量に放出するカナダの重水を用いるCANDU原子炉では、稼働後に小児白血病やダウン症や新生児死亡の増加があり、住民の実感として問題となった。
 日本でもトリチウムを大量に放出する加圧水型原子炉である玄海原発や泊原発では、明らかな健康被害のデータが示されています。

〇 トリチウムは水素の同位体で、化学的性質は普通の水素と同一ですが、ベータ崩壊し低いエネルギーのベータ線を出してヘリウム3に変わります。(中略)
 このため原子力政策を推進する人たちは、エネルギーが低いので心配ないとその深刻さを隠蔽し、海に垂れ流しています。

〇 トリチウムは水また気体として体内に取り込まれ、そのほとんどは代謝の過程で尿や汗として体外に排出されますが、問題なのは、体内では水素として主要な化合物である蛋白質、糖、脂肪などの有機物にも結合し、化学構造式の中に組み込まれ、トリチウム水とは異なった挙動をとることです。この場合は一般に排泄が遅く、体内に長く留まります。

〇 未来のエネルギーとしての核融合が注目され、盛んに研究が行われていた1970年から80年代には、トリチウムが染色体異常を起こすことや、母乳を通して子どもに残留することが動物実験で報告がされています。
 また2003年3月に小柴昌俊氏(ノーベル物理学者)と長谷川晃氏(マックスウエル賞受賞者)が連名で同時の総理大臣小泉純一郎宛てに、トリチウムを燃料とする核融合炉は、安全性と環境汚染性から見て、極めて危険であり、中止するよう「嘆願書」を出しています。

〇 トリチウムが深刻なのは、水素として細胞の核に取り込まれることがわかっています。核の中にあるDNA(デオキシリボ核酸)を構成している4つの塩基(アデニン、シトシン、グアニン、チミン)は水素結合力でつながり、二重螺旋構造を形成し遺伝情報を含んでいます。結合させている水素がベータ線を出すトリチウムだったら、遺伝情報を持つ最も基本的なDNAに放射線が当たり、また4つの塩基をつないでいる水素結合は破綻します。
 そしてトリチウムがヘリウム3に元素変換することにより、塩基の本来の化学構造式も変化します。

〇 こうした有機結合型トリチウムの存在を考慮すれば、政府や御用学者は、「トリチウムはエネルギーが低く、人体影響はない」と安全神話を振りまいていますが、大ウソなのです。
            (2018年7月15日「日々の新聞」より)

※引用者注:当記事の元と思われる PDFファイル がありました。
KEY_WORD:汚染水_:TOMARI_:GENKAI_: