[2019_02_15_02]泊停止7年、緩む現場 北電への不信広がる 安全管理トラブル続発(北海道新聞2019年2月15日)
 
参照元
泊停止7年、緩む現場 北電への不信広がる 安全管理トラブル続発

 北海道電力泊原発(後志管内泊村)でここ数カ月、非常用発電機の接続不良の放置や、消火設備の凍結による一部損傷など、安全管理上のトラブルが相次いでいる。背景として、2012年5月の全3基停止から7年近く経過する中、「現場の緊張感や危機対応への想像力が低下している」などの指摘が専門家のほか、北電内部でも上がっている。北電は泊原発の再稼働を目指すが、道民の不安と不信感は募るばかりだ。
 「現場の緩みがここまで来たか」。電力事業を所管する経済産業省幹部は、このところ続く泊原発の問題に危機感をあらわにする。
 9日、北電が公表した泊原発の消火設備の損傷は、1、2号機の各消火栓に水を送る給排水処理建屋のポンプ室で発生。室内の暖房が不具合で停止中に、8日以降の記録的寒波で凍結したためとみられる。担当者は、周囲の別の暖房で補えるなどと判断し、事前に予想された寒波への特段の対応をとらなかったという。
 また、昨年11月には、非常用発電機の制御盤で端子が外れた状態が9年間も放置されてきたことが判明した。今年1月には、原子力規制庁のシステムに放射線量などのデータを送る作業を北電の担当者が失念し、3時間近く遅れるなど、初歩的なミスが目立つ。

経産省「原子力施設を管理する緊張感欠く」

 経産省内では「原発停止から7年近くたち、原子力施設を管理するという緊張感が欠けている」(幹部)との見方も。北電幹部は「問題が続きすぎだ。危機を防ぐ想像力が必要なのだが…。何か手を打たなければ」と焦りの色を浮かべる。
泊原発で起きた最近の主なトラブル
 消火設備の損傷については、消火機能自体は維持されたことなどから、原子力規制委員会は北電に何らかの指示や指摘はしない考えだ。だが、北電社内では「これで再稼働に向けた(規制委の)審査のハードルが上がる」との声も漏れる。
 一方、脱原発を訴える市民団体「Shut(シャット)泊」共同代表の川原茂雄・札幌学院大教授は、こう語気を強めた。「一連の問題は安全を軽視する北電の企業体質を示すものだ。道民のだれもが気にする凍結防止すらできない電力事業者に、原発の管理は任せられない」

KEY_WORD:TOMARI_: