[2019_09_29_02]関西電力3億2千万円“裏金” 今年3月に出回った告発文書【独占入手】〈週刊朝日〉(アエラ2019年9月29日) |
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関西電力の八木誠会長(69)や岩根茂樹社長(66)を含む役員ら20人が関電高浜原発が立地する福井県高浜町の森山栄治元助役=3月に90歳で死去=から、約3億2千万円分の金品を受け取っていた問題を今年3月、告発していた“文書”を本誌は入手した。 金品を提供していた、高浜町の森山元助役は3億円以上もの資金を地元の建設会社「吉田開発」から得ていたことが金沢国税局の税務調査で明らかになっている。 今年3月10日の日付が振られた告発文書はいきなりこう始まる。 <このたび、関西電力が第2の日産にならぬよう、岩根社長に忠言いたします> カルロス・ゴーン元会長の逮捕で揺れる、日産自動車スキャンダルを引き合いに出している。そして、森山氏が関西電力に提供してきた資金を調達してきたとされる高浜町の建設会社、吉田開発を名指し。 <吉田開発の脱税、森山氏に対する利益供与だけであれば、国税の査察も入り既に解決〜安堵されているやも知れません。以下の大罪があげられます> <(吉田開発から森山氏に)利益供与された金が、関西電力の八木会長をはじめとする原子力事業本部、地域共生本部などの会社幹部に還流されていたこと>と今回の関西電力の大スキャンダルを、ずばり指摘しているのだ。 そして告発文書は、<大罪に関与した一連の幹部について、その地位をはく奪し、職務から追放><「裏」の世界と決別すること>と関西電力が責任を取るようにと記し、株主総会でケジメをつけるべきと求めている。 関西電力のある社員がこう話す。 「吉田開発、森山氏に税務調査が入っていることはかなり前からうちの幹部は把握していた。バレないと思っていたようですが、国税は甘いものではなかった。それでもバレないと高をくくっていたら、あっと驚く告発文書がまかれたと、社内でウワサになったのは今年の株主総会くらいだった」 しかし、関西電力は金沢国税局の税務調査からの指摘で修正申告には応じたが、公表はしなかった。 幹部の刷新もなく、八木会長、岩根社長体制が継続。告発文書には、関西電力が求めに応じないなら、大株主の大阪市や神戸市、元大阪市長の橋下徹氏、反原発の市民団体、朝日新聞などマスコミ各社などに情報提供すると書かれていた。 「うちが知らんふりを決め込むと、マスコミなどに告発文書が撒かれはじめた。一気に情報が広まってもうちはなんの対応もしない。さらに傷口が大きくなり、マスコミ報道が先行。緊急記者会見で詫びる大スキャンダルに発展してしまった」(前述の関西電力社員) 本来なら、関西電力に原発マネーを提供していたことで、糾弾されるべき森山氏について岩根社長は記者会見でこう庇っていた。 「森山氏には世話になっている」 森山氏を知る、高浜町の原発関連業者の一人はいう。 「森山氏と吉田開発の特別な関係は地元では知られるところ。そして、関西電力との癒着もかねてからささやかれていた。岩根社長が会見で、森山氏に世話になったと庇ったのは、高浜町の“影の町長”とも呼ばれた森山氏の影響力がそれほどすごかったということでしょう」 告発文書の主は、関西電力の役員に提供されていたカネの原資が <ほかならぬ、お客さまから頂いている電気料金で賄っていること> と厳しく非難している。まさにその通りだ。 「修正申告した」「今後、調査委員会で調べる」という関西電力。 だが、会長、社長ら20人の幹部が金品を受け取るという前代未聞のスキャンダルの信頼回復ははるか遠い。(今西憲之) |
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