[2021_10_28_07]最終処分地なお不透明 寿都町長選 調査推進の現職6選 六ケ所で廃棄物一時保管 調査進展「意義ある」六ケ所村長(東奥日報2021年10月28日)
 
 高レベル放射性廃棄物(ガラス固化体)の最終処分場候補として、選定の第1段階となる文献調査が行われている北海道寿都町の町長選で、調査に応募した現職が、撤回を訴えた新人を破った。ただ、鈴木直道道知事は第2段階の調査に反対を表明しており、この先の手続きが進展する可能性は小さい。本県では1995年から固化体の一時保管が始まり、県民は長く、最終処分を巡る問題と向き合ってきた。「30〜50年間」とする保管の期限は迫りつつあるが、約束の順守は困難な状況だ。           (加藤景子)

 日本の電力会社はかつて、使用済み核燃料の再処理工場がある英国とフランスに燃料の処理を委託していた。その過程で発生した固化体は、95年から日本に順次返還され、計1830本が六ヶ所村にある日本原燃の施設で保管されている。施設は昨年安全審査に合格したが、追加の工事が必要で、残る約400本の返還は中断中だ。
 返還固化体は、県、村、原燃との協定で保管期間を「30〜50年」と定め、50年の終了時点で電力会社が搬出することを約束している。ただ、最終処分場の立地まで、文献調査から始まる3段階の調査だけで20年、建設で10年が見込まれ、初回に持ち込まれた固化体は、2045年に訪れる「50年」の期限の順守すら危うい。
 県内には「条件を付けて保管を延長する方法もあるのでは」と「妥協策」を探る声もあるが、「そうすれば『約束』は破ってもいいという前例になりかねない」と県幹部は反発する。
 さらに、六ヶ所の再処理工場が本格稼働すれば年間で最大約千本の固化体が発生する。既にアクティブ試験(実際の燃料を使って工程を確認する最終試運転)では346本がつくられ、10年以上、施設内で保管しているものもある。
 この六ヶ所由来の固化体は現時点で保管期間が定められていない。県エネルギー総合対策局は「エ場が操業に向かう中で検討していくことになる」と説明。地元と原燃が操業前に結ぶ安全協定などに期間が盛り込まれる可能性がある。
 県は、国と「本県を高レベル廃棄物の最終処分地にしない」との確約を結んでいるが、さらに国からは、海外返還だけでなく、六ヶ所再処理工場で生じるガラス固化体も含め「発生場所の限定なしに処分地にしない」との回答を得ているという。
 将来的に全ての固化体の搬出が約束されているとはいえ、最終処分場選定の見通しはなお不運明で、核燃料サイクルの「行き詰まり」を象徴する大きな課題となっている。

 調査進展「意義ある」 六ケ所村長

 北海道寿都町長選の結果を受け、六ヶ所村の戸田衛村長は27日の取材に「六ヶ所再処理工場と高レベル放射性廃棄物の最終処分場は大きな関わりがある。文献調査が進展することは意義があると考えている」と述べた。
 戸田村長は「最終処分場の行方は村にとっても懸案事項。寿都町の応募は、なかなか進まなかった問題に一歩踏み込んだ形となった」との認識を示した。国に対しては「責任を持って最終処分場の選定問題に取り組んでほしい」と一層の努力を求めた。     (加藤景子)
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