[2020_12_08_01]「本音のコラム」原発廃止は自然の声 日本の自然と地理的条件を無視した原発から一日も早く撤退をすべき 鎌田慧(ルポライター)(東京新聞2020年12月8日)
 
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「本音のコラム」原発廃止は自然の声 日本の自然と地理的条件を無視した原発から一日も早く撤退をすべき 鎌田慧(ルポライター)

 地球温暖化を口実に菅内閣は、電力会社支援の原発再稼働推進を公然と主張している。一種の火事場泥棒の類い(たぐい)だが、4日の大阪地裁判決は、原子力規制委員会が関電に与えた大飯原発の設置許可を「違法」として取り消した。いわば原発巻き返しの出ばなをくじいた。
 規制委は、経済産業省内に置かれていた「原子力安全・保安院」が、露骨に電力会社寄りだったので廃止、その代わりに新たに設置されたのだが、原子力「無規制」委員会として評判が悪かった。
 今回の大阪地裁判決は関電が設定した手前みその「基準地震動」を、規制委が認めたのは「過誤、欠落、不合理」という厳しいものだ。裁判所にも正義がもどってきた。これは各地での運動の成果と言える。
 この感動は2014年5月、福井地裁で樋口英明裁判長の大飯原発再稼働を差し止め決定からはじまった。
 2015年4月、樋口裁判長の高浜原発再稼働差し止め仮処分決定、そのあと大津地裁、広島高裁と差し止め決定か続いている。
 そもそも避難訓練付きの工場とは、事故を前提、許容している工場である。事故はチェルノブイリや福島(第一原発)事故のように、すべて回収不能、黙示録的な悲劇だ。誰が許可できるのか。日本の自然と地理的条件を無視した原発から、一日も早く撤退をすべきだ。それが自然の声なのだ。
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