[2022_03_09_09]むつ核燃新税、減免協議合意に至らず(東奥日報2022年3月9日)
 
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むつ核燃新税、減免協議合意に至らず

 青森県むつ市が独自課税を目指す使用済燃料税(核燃新税)について、特定納税義務者であるリサイクル燃料貯蔵(むつ市、RFS)と約2年にわたり継続してきた減免協議が期限を迎えた。市は今年1月に税を大幅に減免する譲歩案を提示したが、市によると協議は合意に至らなかった。市は「議論を尽くした」として8日、譲歩案を反映した「市使用済燃料税条例の一部改正案」をむつ市議会に提出した。
 RFSは2020年3月、減免協議を申し入れ、市と計約40回の協議を重ねてきた。議論は平行線をたどり、市は協議の期限を今月7日に設定していた。
 RFSは東奥日報の取材に「7日に回答したが、内容の詳細は差し控える」とした。市条例改正案が提出されたことに対しては、「安全協定の協議までに判断・合意できるよう、取り組んでいきたい。それまで時間をいただき、東京電力ホールディングスと日本原子力発電からの(燃料)搬入計画の提示などを踏まえ、あらためて協議をさせてほしいと考えている」とコメント。協議再開を求める意向を示した。
 また同社は(1)会社の担税力に応じた税率(2)財政需要(3)課税項目(4)県などの(課税の)動向-の4点が判断できる状況になれば、「地元事業者としての責務を果たしていきたい」と、約2年前からの主張を一貫して繰り返した。
 現行の条例は20年3月に成立。使用済み核燃料のウラン重量1キロ当たり、受け入れ時に1万9400円、貯蔵に関しては毎年度1300円を課税するとしていた。一方、改正案は受け入れ時の課税を免除するほか、貯蔵は現行の半額以下の620円とし、東京電力柏崎刈羽原発(新潟県)の使用済み核燃料に課税する同県柏崎市の税率と同額まで引き下げた。また、減免条項は削除した。
 新税は法定外普通税で、条例制定後に総務大臣の同意を受ける必要がある。ただ地方税法は特定納税義務者(今回はRFS)の意見を聞くよう定めているものの、同意は必須要件になっていない。
 宮下宗一郎市長は議会散会後の取材に「ほぼゼロ回答だった。この条例案は会社に対して大幅に譲歩し、配慮した案。これすら受け入れていただけなかったのは極めて残念」と述べた。
 市議会「使用済燃料中間貯蔵施設に関する調査検討特別委員会」は8日、地方税法に基づき、改正案に対するRFSの意見を求めた。期限は16日。市は18日までの定例会会期中の議決を目指す。
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