[2021_04_29_03]40年超の原発再稼働同意に地元住民、思い交錯 「再び活気づく」「事故の不安は消えない」 福井県の美浜町、高浜町(福井新聞オンライン2021年4月29日)
 
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40年超の原発再稼働同意に地元住民、思い交錯 「再び活気づく」「事故の不安は消えない」 福井県の美浜町、高浜町

 福井県の杉本達治知事が運転開始から40年を超える関西電力の原発3基の再稼働に同意した4月28日、原発が立地する美浜、高浜両町の住民からは「経済の先行きが見通せる」と歓迎の声が多く聞かれた。一方で、「事故の一抹の不安は消えない」など懸念も少なくなかった。
 美浜原発から5キロ圏内にある美浜町竹波の澤田忠義区長(61)は「(原発が止まった)この10年間、にぎやかな商店街から人がいなくなったような感じ」。再稼働すれば定期検査などで町内の業者が潤うなどとし、「ずっと辛抱してきた。再び活気づくだろう」と期待した。その上で「どれだけ安全といわれても地元として不安は必ずある。本当に事故のないように。それだけを願っている」と注文した。
 元美浜町議の山崎俊太郎さん(81)は「(2004年の)蒸気噴出事故を反省し安全性向上に努めているというが、本当に安全なのか。原発マネーの問題もあり不信感はある」と漏らした。使用済み核燃料の中間貯蔵施設の問題も解決されていないとし、「不安材料を抱えながら再稼働してもよいのか」と嘆いた。
 高浜町商工会の田中康隆会長(65)は「原発は地域最大の雇用先で、関係者の多くが町内に宿泊している。定期検査も見込め、町の経済にとってありがたい」と歓迎する。70代男性は「やっと同意かという思い」と安堵の表情。「原発は悪いものではない。日本のエネルギーを支えてきたことが冷静に評価されるきっかけになれば」と願った。
 消極的賛成という60代女性は「審査で安全は確認されているが、事故への不安は常に持っている」と吐露する。原発の仕事に携わっている町民が多いため、懸念の声を上げられない人は一定数いるとし、「地域経済のため致し方ないが、もろ手を挙げて喜べない」と顔を曇らせた。
 再稼働に反対し県内原発の廃炉を求めてきた渡邊孝高浜町議は「再稼働ありきの議論だった。大事故が起きたらどうなるか、身に置き換えて考える責任が政治にはある」と非難した。
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