[2020_11_12_10]中間貯蔵施設の事故対策拠点 県「東通を当面使用」 反対派 「問い続ける」(東奥日報2020年11月12日)
 
 11日、むつ市の使用済み核燃料中間貯蔵施設が安全審査に合格した。事業者のリサイクル燃料貯蔵は今後、審査で議論した安全対策を反映させるための工事など操業に向けた手続きを進める。一方、事故時の対策拠点となる施設「オフサイトセンター」は場所が正式に決まっておらず、整備主体の県は東通村にある既存の施設を当面、使用する方針としている。
 県によるとオフサイトセンターの建設には4年ほどかかると見込まれ、操業に間に合わないことが想定される。県原子力安全対策課の安田浩課長は「その際は設備が整っている東通のオフサイトセンターを利用したい」と説明。新設については「国、市と調整中」と語った。
 当初は市の強い意向で市庁舎周辺に建設する構想もあったが、2011年の東京電力福島第1原発事故後に原子力防災の在り方が見直され、市は現在、「国の指針に基づき県が整備する」とのスタンスを取る。
 東通のオフサイトセンターは東北電力東通原発の対策拠点として運用されており、消防署などが入る「村防災センター」内にある。県内ではほかに、核燃料サイクル施設が立地する六ヶ所村にも整備済み。
 オフサイトセンターは、1999年の東海村臨界事故を教訓に、原発やサイクル施設などの事故に備えて設置された。施設ごとに国が指定する。テレビ会議システムや通信設備を備え、国や地元自治体の関係者、事業者などが集まり事故対応に当たる。
 中間貯蔵施設は、金属製の容器(キャスク)に入れた燃料を最大50年間、保管する施設。原子力災害対策指針では、事故時に直ちに避難を求める「予防防護措置区域(PAZ)」、屋内退避を求める「緊急防護措置区域(UPZ)」は設定されておらず、避難計画も必要ない。
 (加藤景子、工藤洋平)

 反対派「問い続ける」

 リサイクル燃料貯蔵(むつ市、RFS)の使用済み核燃料中間貯蔵施設が安全審査に合格したことについて、むつ市の宮下宗一郎市長は11日、RFSの坂本隆社長から電話で合格の報告があったと明らかにした。その上で、17日に予定している坂本社長との面会を受けて「所感を伝えたい」と話した。
 中間貯蔵施設に反対する「核の中間貯蔵はいらない!下北の会」の野坂庸子代表は「高レベル放射性廃棄物最終処分場が決まっていない。国の方針が最後まで定まっていない中で、中間貯蔵の後、50年先に燃料を搬出する約束が本当に守られるのか。疑問点を投げかけて、市民目線で見続ける」と話した。
     (工藤洋平)
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