[2020_09_03_07]むつ中間貯蔵「合格」 規制委 原発敷地外で国内初 審査書案了承 今後も真摯、丁寧に RFS(東奥日報2020年9月3日)
 
 原子力規制委員会は2日、東京都内で開いた定例会合で、むつ市のリサイクル燃料貯蔵(RFS)が運営する使用済み核燃料中間貯蔵施設の安全対策が、新規制基準に適合すると認める「審査書案」を了承した。稼働へ向けた安全審査で、審査書案は事実上の合格証。着工から10年、審査申請から6年7カ月余を経て「合格」にこぎ着けた。
 中間貯蔵事業は政府が推進する核燃料サイクル政策の一環。原発で使い終わった核燃料を再処理するまで一時保管する施設で、原発の敷地外としては国内で唯一となる。サイクルを巡っては再処理工場の稼働の遅れによって、各地の原発で使用済み核燃料がたまり、貯蔵能力の限界に近づいているという現状がある。
 RFSは2014年1月に安全審査を申請。耐震設計に用いる基準地震動の最大値を620ガル(加速度の単位)、津波想定は県が試算した波高の2倍に当たる23メートルを「仮想的大規模津波」として設定した。規制委は審査終盤、仮に津波で建屋が損傷しても、使用済み核燃料を保管する金属容器(キャスク)の安全機能が損なわれる恐れがないことなどに重点を置いた。
 2日の定例会合で、規制委員5人は審査書案を全員一致で了承。今後はパブリックコメント(意見公募)や経済産業相らへの意見照会を経て、正式に合格となる。更田豊志委員長は定例会合後の会見で「事故と呼ぶようなものが起きる可能性は非常に小さいと言っていい一方で、(事業者には)淡々と確実に運用してもらいたい」と述べた。
 RFSには東京電力が80%、日本原子力発電が20%を出資。燃料を空冷式のキャスクに入れる乾式貯蔵で、出資2社の計5干トンを最長5年間保管する計画。RFSは事業開始を21年度と見込む一方、審査の進捗を踏まえた上で正式に開始時期を決める見通し。
    (佐々木大輔)

 今後も真摯、丁寧に RFS

 リサイクル燃料貯蔵(むつ市)は使用済み核燃料中間貯蔵施設の審査合格を受け、「審査書案が取りまとめられ、ここで一つの大きな節目を迎えることになるが、今後とも規制委員会による審査に真摯かつ丁寧に取り組んでまいりたい」とコメントした。

 使用済み核燃料の中間貯蔵施設

 原発で使い終わった核燃料を再処理するまでの間、金属でできた円柱形の容器「キャスク」に入れて一時保管する施設。原発内の使用済み燃料プールの容量に限界がある中、運転継続に向けて整備が必要とされる。むつ市の施設は、原発敷地外に整備される国内初の施設で、東京電力ホールディングスが80%、日本原子力発電が20%を出資してリサイクル燃料貯蔵(RFS)を設立した。2社の核燃料を最大50年間保管する計画で、既に完成している1棟目に3千トン、今後建設する2棟目に2千トンを貯蔵する。
KEY_WORD:MUTSU_RECYCLE_:ROKKA_: