[2020_02_22_08]操業への道のり遠く 遅れれば他施設に影響も(東奥日報2020年2月22日)
 
 6年を費やした六ヶ所再処理工場(六ヶ所村)の審査会合。審議は終結したものの、原子力規制委員会の日本原燃に対する視線は厳しく、原燃が操業へのスタートラインに立ったとは言いがたい。合格時期が大幅にずれ込めば、他の核燃料サイクル施設に影響を及ばす恐れもある。
 原燃だけでなく、規制委にも合格の時期を見通せない事情がある。合格実績が増える原発と違い、再処理工場は規制当局にとって初めての合格証となる。「放射性物質が面的に広く分布する」(更田豊志委員長)という特徴もあり、規制委事務局の原子力規制庁幹部は「委員も慎重に補正書の中身を見るだろう」と推し量る。
 補正書を受け取り、規制委が合格証を出す判断に至るまでの期間は、最近の原発審査よりも長くなる見込みだ。規制庁内には、3カ月近くを要するとの見方もある。規制委が2014年に原発として初めて合格証を出した九州電力川内原発1、2号機の審査でも、九電が指摘を受けて補正書を提出し直し、合格までに時間を要した経緯がある。
 再処理工場と時期を同じくして、リサイクル燃料貯蔵(RFS)の使用済み核燃料中間貯蔵施設(むつ市)も17日に審査会合が終了した。
 中間貯蔵施設の運用を巡っては、電力業界や地元開係者の間に「核燃料サイクル事業は一体で」との認識がある。施設に運び込まれる核燃料は「再処理が前提」。再処理事業の先行きが確定しない中での運用開始には反発も予想される。再処理工場の大幅な工程繰り延べは、中間貯蔵事業にも影響しかねない。
 原燃が完工目標に掲げる「21年度上期」まで時間的余裕はない。原燃は「設計・工事の方法の認可」(設工設)を受けた上で、ようやく本格的な安全対策工事にふる。工期の短縮を目指し協力会社などと話し合いを進めるが、設工設を含め各工程にどれほどの期間がかかるのか、現時点で未知数だ。
 増田尚宏社長は1月、目標達成は「簡単ではない」と認めつつ「設工認、現場の工事の工夫をしながら、完工目標に向けて頑張っていく」と強調した。これまで20回以上、完工時期を延期してきた原燃は、多くの不確定要素を抱えながら操業へのステップを踏むこととなる。(加藤景子、佐々木大輔)
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