[2023_07_26_01]高速実験炉「常陽」審査通過 意見公募では異例の対応も(毎日新聞2023年7月26日)
 
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高速実験炉「常陽」審査通過 意見公募では異例の対応も

 原子力規制委員会は26日の定例会で、日本原子力研究開発機構の高速実験炉「常陽」(茨城県)が新規制基準に適合したことを示す審査書を決定した。正式な審査通過となる。
 ただ、5月に了承した審査書案に対する30日間の意見公募で出た意見に対し、新たな対応をとることを決める異例の一幕があった。
 常陽は1977年に運転を始めたが、2007年に炉内の装置が破損するトラブルを起こし、小さなピン6本が炉内に落下したままになっている。
 意見公募では、このトラブルについて「審査書で触れていない」との指摘があった。伴信彦委員も「トラブルを前提にした審査ではないのか」と疑問を呈し、審査書に追記することを提案した。
 定例会で議論した結果、落下したピンがもたらす影響について、今後実施する保安規定の審査で具体的な対策を確認することを決め、意見公募の回答に追記した。一方、審査書自体を修正する必要はないと判断した。
 原子力機構は常陽の25年3月の再稼働を目指している。高速炉は核燃料サイクルの中核とされ、国も次世代原発の一つと位置づける。しかし、同じ高速炉だった原子力機構の原型炉「もんじゅ」(福井県)が相次ぐトラブルで16年に廃炉が決まり、実用化に向けた道筋はいまだ不透明だ。【高橋由衣】
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