[2019_03_15_04]伊方原発 運転停止の仮処分退ける 山口地裁岩国支部(NHK2019年3月15日) |
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愛媛県にある伊方原子力発電所3号機を停止するよう住民が求めた仮処分で、山口地方裁判所岩国支部は「原発の規制基準に適合しているとした原子力規制委員会の判断に不合理な点はない」として住民の申し立てを退けました。伊方原発3号機は去年10月に再稼働していて、今後も運転が続くことになります。 伊方原発3号機から50キロ圏内にある山口県南東部の島の住民3人はおととし、四国電力に対して伊方原発3号機を運転しないよう求める仮処分を申し立てました。 審理では地震や火山の巨大噴火に対する安全性が争われました。 15日の決定で山口地方裁判所岩国支部の小野瀬昭裁判長は「伊方原発のある沿岸部では四国電力や大学などによる調査が行われていて、活断層が存在するとはいえない。 原発の運用期間中、巨大噴火の可能性が十分に小さいと判断でき、原発の規制基準に適合しているとした原子力規制委員会の判断に不合理な点はない」として申し立てを退けました。 伊方原発3号機はおととし、広島高等裁判所の仮処分の決定で運転できなくなりましたが、四国電力が異議を申し立て、去年9月に広島高裁の別の裁判長が決定を取り消しました。 これを受けて伊方原発3号機は去年10月に再稼働していて、今後も運転が続くことになります。 四国電力「妥当な決定」 四国電力は「伊方原発3号機の安全性は確保されているとの当社のこれまでの主張が裁判所に認められたものであり、妥当な決定をいただいたと考えている。今後も伊方原発の安全対策に不断の努力を重ねるとともに、3号機の安全・安定運転に万全を期していく」というコメントを発表しました。 伊方町長「安全性の確保を」 伊方原子力発電所のある愛媛県伊方町の高門清彦町長は、「司法判断についてコメントは差し控えたい。四国電力には、原発の徹底した安全性の確保と地域との信頼の向上に引き続き取り組んでほしい」というコメントを発表しました。 住民側の弁護士「極めて不当な決定」 決定が出されたあと、住民側が裁判所の前で「不当決定」などと書かれた旗を掲げると集まった支援者からは落胆の声が漏れました。 住民側の河合弘之弁護士は「四国電力のいいなりになっている極めて不当な決定と考える。抽象的で真面目に審査しておらず無責任だ。このいいかげんな決定を決して許さず、これから粘り強くたたかいを続けていきたい」と話していました。 弁護団が声明「司法判断に値しない」 15日の決定について、仮処分を申し立てた住民と弁護士が開いた会見で弁護団の中村覚弁護士は声明を発表し、「東京電力福島第一原発の事故の教訓を踏みにじる不当なもので、住民側の主張にほとんど答えておらず、司法判断に値しない」と述べました。 さらに、緊急時の避難計画について、裁判所が「速やかな避難や屋内退避は容易ではないようにも思われるが、自治体レベルの対応が困難な場合は全国規模の支援が実施されることになっている」と認定したことに対して、弁護団は「何ら具体性のない無責任な判断をしている」と批判しました。 今後の対応については「山口県は瀬戸内海を挟んで伊方原発と向き合っている。今回の決定に屈することなく放射能被害から山口県民の生命と暮らしを守るという申し立て人の思いが実現するよう伊方原発3号機が止まるまで闘い続ける」として、広島高等裁判所に即時抗告する方針を示しました。 また、仮処分を申し立てた住民の1人で山口県上関町祝島に住む橋本久男さんは「地震や津波に関する主張に対して一切聞く耳を持っておらず、決定には憤っている」と述べました。そのうえで、「決定では『事故が起きた際に全国規模の支援が行われる』としているが、祝島は、しけの時には船も来られない場所で、田舎を切り捨てたとしか思えない」と話していました。 原子力規制委「コメントする立場にない」 原子力規制委員会は「決定があったことは承知しているが、規制委員会は当事者ではないため直接コメントする立場にはない」としています。 愛媛県知事「当事者でなくコメント差し控える」 今回の決定について、愛媛県の中村知事は「司法の判断にかかわるもので県は当事者ではないことからコメントは差し控えたい。四国電力には今後とも決して事故を起こさないという心構えの下、慎重かつ細心の注意を払いながら安全確保に努めていただきたい」と話しています。 電事連会長「意義深い」 大手電力各社でつくる電気事業連合会の勝野哲会長は記者会見で、「四国電力が安全性を含めてこれまで取り組んできた内容をしっかりと説明した結果で、大変意義深いと思う。ほかの原発でも、さまざまな形で訴訟があるので、安全性の説明をしっかりとしていきたい」と述べました。 |
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