[2020_05_13_07]規制委 再処理工場審査「合格」 申請から6年4カ月(東奥日報2020年5月13日) |
原子力規制委員会(更田豊志委員長)は13日、東京都内で定例会合を開き、日本原燃・六ヶ所再処理工場(六ヶ所村)の安全対策が新規制基準に適合すると認める「審査書案」を了承した。稼働へ向けた安全審査は、原燃による2014年1月の申請から約6年4カ月を経て、事実上の合格となった。意見公募(パブリックコメント)などを実施した上で正式合格となる。(佐々木大輔)
審査書案は「合格証」に当たる。11年の東京電力福島第1原発事故の教訓を踏まえて策定された新規制基準下で、再処理工場の合格は初めて。原燃の施設としては、ウラン濃縮工場(同村)に続き2例目の合格。 定例会合で、原子力規制庁の審査チームが委員5人に対して審査書案の内容を説明。重大事故対策を中心に質疑を重ねた後、各委員は審査書案を取りまとめることについて了承した。 正式合格の後、原燃は安全対策工事の実施や使用前検査の受検を進め、21年度上期の完工を目指す。さらに地元と安全協定を締結した上で、操業に至る。 再処理工場は、国の核燃料サイクル政策の中核施設。原発で生じる使用済み核燃料を化学処理し、混合酸化物(MOX)燃料として再利用するブルトニウムとウランを取り出す。 1993年の着工後、トラブルや管理体制の不備、審査の長期化で完工の延期を23回(「未定」の届け出を除く)繰り返した。総事業費は安全対策の増強などで約13兆9400億円に上る。 核燃料サイクル政策 原発の使用済み核燃料からプルトニウムやウランを化学処理(再処理)で抽出し、混合酸化物(MOX)燃料として再利用する政策。燃料の有効利用が目的で高レベル放射性廃棄物の量も少なくなるとされるが、中核となる再処理工場の完成が遅れ、各地の原発で使用済み燃料がたまり続けている。MOX燃料を使う高速増殖炉は、研究段階の原型炉もんじゅ(福井県)が廃炉となり開発が停滞。政府、電力業界は普通の原発でMOX燃料を使うプルサーマル発電を進めるが、東日本大震災以降、実施したのは四国電力伊方原発3号機(愛媛県)など4基にとどまる。 日本原燃の再処理工場を巡る経緯 1993年4月 着工 2006年3月 実際に使用済み核燃料を使い再処理を行う試運転開始 2008年12月 工場内のガラス溶融炉でトラブル。試運転を中断 2011年3月 東日本大東災、東京電力福島第1原発事故 2012年6月 試運転再問 2013年5月 試運転で主な項目の確認終了 2014年1月 日本原燃が原子力規制委員会に審査申請 2017年8月 重要設備の非常用発電機がある建屋に雨水約800リットルが流入 2017年10月 原燃、審査中断を規制委に要請 2017年12月 完成目標時期を3年先延ばしし、21年度上半期に。24回自の延期 2018年5月 審査再開 2019年3月 規制委定例会合で事実上の合格証に当たる「審査所案」の草案を提示。委員から疑問が出て審査継続。 2020年2月 審査会合での議論終了 2020年5月13日 定例会合で審査所案を議論 |
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