[2024_04_03_03]沖縄県の津波注意報をすべて解除 各地で津波観測(NHK2024年4月3日)
 
参照元
沖縄県の津波注意報をすべて解除 各地で津波観測

 14:06
 3日午前、台湾付近を震源とする大きな地震があり、気象庁は沖縄県の宮古島・八重山地方と沖縄本島地方に発表していた津波注意報を正午にすべて解除しました。
 気象庁は今後しばらくは多少の潮位の変化が続くと考えられるため、海に近づく際は十分気をつけるよう呼びかけています。
 気象庁によりますと3日午前8時58分ごろ台湾付近の深さ23キロを震源とするマグニチュード7.7の地震がありました。
 この地震で気象庁は宮古島・八重山地方と沖縄本島地方に津波警報を発表し、午前10時40分に津波注意報に切り替えたあと、正午にすべての津波注意報を解除しました。
 この地震で与那国島と宮古島で、いずれも30センチ、石垣島で20センチの津波を観測しました。
 気象庁は今後しばらくは多少の潮位の変化が続くと考えられるため、海水浴や海に入って作業をする際などには十分気をつけるよう呼びかけています。
 また、この地震で与那国島で震度4の揺れを観測したほか、石垣島と竹富町の西表島と黒島、波照間島で震度3を観測しました。

 専門家「少しでも遠く高いところへ」

 東京大学の平田直名誉教授は「台湾の東岸で発生した地震で、沖縄地方は最大震度4程度だが台湾ではもっと大きな揺れが出ていると思う。30センチの津波でも大人は動けなくなる。実際にすでに津波も観測されていて今後さらに高い津波が来ることも予想される。津波警報の出ている地域の方は、海岸から少しでも遠く高いところに避難してほしい」と話しています。

 【各地の満潮時刻】

 各地の満潮時刻は次のとおりです。
 ◇沖縄本島地方
 ・那覇港 3日午後1時16分ごろ
 ・沖縄・久米島 3日午後1時18分ごろ
 ・沖縄・沖縄市中城湾港 3日午後0時43分ごろ
 ・沖縄・南城市 3日午後0時43分ごろ
 ◇宮古島・八重山地方
 ・沖縄・西表島 3日午後2時32分ごろ
 ・沖縄・与那国島 3日午後1時12分ごろ
 ・沖縄・石垣島 3日午後1時10分ごろ
 ・沖縄・宮古島 3日午後1時33分ごろ

 岸田首相「安全な場所への避難を」

 岸田総理大臣は、午前11時前、総理大臣官邸で開かれた企業関係者などとの会合で「先ほど、台湾付近で大きな地震が発生した。現在も沖縄本島などに津波注意報が出ており、住民には引き続き、安全な場所への避難をお願いしたい」と述べました。

 林官房長官「人命を第一に対応」

 林官房長官は午前の記者会見で「政府としては地震発生後、直ちに総理大臣官邸の危機管理センターに官邸連絡室を設置し、人命を第一に政府一丸となって最大限の対応を行っている。引き続き、被害状況の把握に全力で取り組んでいく」と述べました。
 また「当該地域の皆さんには自治体や気象庁からの情報のほか、テレビ・ラジオなどの情報に注意をしつつ不確かな情報に惑わされることなく、パニックにならず、お互いに助け合って落ち着いて行動していただくようにお願いする」と述べました。
 そして「津波に関する情報には十分注意し、注意報が解除されるまで安全な場所から離れないようお願いしたい。人的、物的被害については現在のところ被害情報はないとの報告を受けている」と述べました。

 沖縄県に津波警報 2011年3月11日の巨大地震以来

 気象庁によりますと、沖縄県の沿岸に津波警報が発表されたのは、2011年3月11日の東北地方太平洋沖を震源とする巨大地震で太平洋沿岸を中心とした広い範囲に出されて以来です。

 [被害関連]

 避難中に90代女性が転倒 病院に搬送

 沖縄県の本部消防署によりますと、3日午前9時15分ごろ、本部町内で自宅から避難していた90代の女性が転倒し、後頭部から出血して病院に搬送されたということです。
 女性は、意識はあるということです。

 防衛省 6つの島で目立った被害は確認されず

 防衛省によりますと、自衛隊の航空機が沖縄県の上空から状況を確認したところ、午前10時45分現在、与那国島と西表島、石垣島、宮古島、多良間島、久米島では津波や地震の揺れによるものとみられる目立った被害は確認されていないということです。

  第11管区海上保安部 船舶などに注意喚起

 沖縄の海を管轄している第11管区海上保安部は、ヘリコプター2機と航空機2機で沖縄県内の海域での被害状況を調査しているほか、巡視船と巡視艇あわせて17隻が出て、船舶などに対して注意喚起を行っているということです。
 午前10時45分の時点で、被害などは確認されておらず、引き続き警戒にあたるということです。
 また、午前9時半の時点で那覇市にある第11管区海上保安本部が入る那覇港湾合同庁舎に付近の住民400人以上が避難しているということです。

 官邸連絡室設置

 津波警報が出されたことを受けて、政府は午前9時1分に総理大臣官邸の危機管理センターに官邸連絡室を設置して情報収集を進め、警戒にあたっています。

 沖縄県 災害対策本部を設置

 沖縄県は、午前10時9分に玉城知事をトップとする災害対策本部を設置しました。

 沖縄県警察本部 被害情報なし(正午)

 沖縄県警察本部によりますと、津波警報に関連する110番通報は正午までに42件あったということです。交通渋滞に関する通報がほとんどで、被害の情報は寄せられていないということです。
 沖縄県警察本部は、津波注意報の解除を受けて午後1時から運転免許センターの業務を再開するなど、通常の体制に移行しました。
 また、津波警報と注意報が出ている間、沿岸部に近い名護警察署、宜野湾警察署、本部警察署は、一部の機能を民間の施設などに移して業務を継続していましたが、こちらも通常の体制に戻りました。

 石垣市 八重山警察署「現時点で被害なし」

 津波警報の発表を受けて、沖縄県石垣市にある八重山警察署によりますと午前9時25分時点で沿岸部周辺の安全が確保されている場所にパトカーを配備し、住民に向けて避難を呼びかけているということです。
 現時点では被害などの情報は入っていないということです。

 宮古島市消防本部 沿岸部で避難呼びかけ

 津波警報の発表を受けて沖縄県の宮古島市消防本部は、午前9時15分時点で、緊急車両を宮古島の沿岸部に出動させて地域の住民に向けて避難を呼びかけているということです。

 石垣市消防本部 避難呼びかけ

 津波警報の発表を受けて、沖縄県の石垣市消防本部は、防災行政無線で沿岸部の住民に向けて避難を呼びかけているということです。

 与那国町役場 高台への避難を指示

 震度4の揺れが観測され、津波警報が出されている与那国町役場は、町民に安全な場所に避難するよう呼びかけるとともに、職員も高台などへの避難を始めているということです。

 与那国町 災害対策本部 立ち上げ情報収集

 震度4を観測した沖縄県の与那国町の役場によりますと、現段階では被害などの情報は入っておらず、災害対策本部を立ち上げて情報の収集にあたっているということです。

 竹富町 被害なし(10:30)

 沖縄県の竹富町によりますと午前10時半の時点で被害の情報は入っていないということです。
 竹富町は9つの有人島を抱えていて各島では防災行政無線で高台に避難するよう呼びかけているということです。
 町によりますと9つある島のうち竹富島と黒島は土地が低い場所が多く、少しでも高いところに避難するよう呼びかけています。

 沖縄 過去の津波被害

 沖縄県付近では過去にも繰り返し津波による被害が発生しています。
 1771年に起きた「八重山地震津波」では津波が沖縄県の八重山諸島や宮古諸島に押し寄せ、2000戸の家屋が流れ、1万2000人が死亡したと言われています。
 この時の津波の高さは古い記録やその後の研究から海岸付近で10メートル程度あったものとみられます。
 また、1938年・昭和13年に宮古島の北で起きたマグニチュード7.2の地震では、地震発生のおよそ10分後、宮古島平良港に高さおよそ1.5mの津波が押し寄せ、桟橋が流失するなどの被害が出ました。
KEY_WORD:台湾地震-2024-震度6強_:YAEYAMA_: