[2024_03_21_08]【地震情報】埼玉 栃木で震度5弱 落石や崖崩れのおそれ 注意を(NHK2024年3月21日)
 
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【地震情報】埼玉 栃木で震度5弱 落石や崖崩れのおそれ 注意を

 17:27
 21日午前、栃木県と埼玉県で震度5弱の揺れを観測する地震がありました。このうち栃木県の下野市では小学校の天井板がはがれ落ちるなど、建物の被害の情報が数件、寄せられているということです。
 気象庁は揺れの強かった地域では1週間ほどは最大震度5弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。
 気象庁によりますと、21日午前9時8分ごろ茨城県南部を震源とするマグニチュード5.3の地震がありました。

 各地の震度です。
 ▽震度5弱
 ▼栃木県の下野市
 ▼埼玉県の加須市
 ▽震度4
 ▼茨城県の土浦市や古河市、石岡市、下妻市、常総市
 ▼栃木県の宇都宮市、足利市、栃木市、佐野市、鹿沼市
 ▼群馬県の館林市、板倉町、明和町
 ▼埼玉県のさいたま市大宮区、さいたま市浦和区、川口市、行田市
 ▼千葉県の野田市、鎌ケ谷市など

 このほか震度3から1の揺れを東北や関東甲信越、東海の各地で観測しました。
 この地震による津波はありませんでした。

 気象庁によりますと、震源の深さは46キロで、陸側のプレートの下にフィリピン海プレートが沈み込む境界とみられ、プレートどうしが押し合うことでずれ動く「逆断層」というタイプの地震だということです。
 栃木県で震度5弱の揺れを観測したのは2022年3月16日以来、埼玉県では2021年10月7日以来です。
 気象庁は揺れの強かった地域では、落石や崖崩れなどが起こりやすくなっている可能性があるとしたうえで、1週間ほどは最大震度5弱程度の地震に注意するよう呼びかけています。

 今回の地震 専門家 ”首都直下地震と関連なし”

 関東南部の地下は、「北米プレート」と呼ばれる陸のプレートの下に、「フィリピン海プレート」と「太平洋プレート」が沈み込む複雑な構造になっていて、地震のメカニズムもさまざまです。
 首都直下地震は、「フィリピン海プレート」と「北米プレート」の境界や、それぞれのプレートの内部で起きるマグチュード7クラスの地震、それに、「フィリピン海プレート」と「北米プレート」の境界で起きるマグチュード8クラスの地震を指します。
 このうち、マグチュード7クラスの地震について、国は今後30年以内に70%の確率で発生すると推計しています。
 気象庁によりますと、今回の地震は、「フィリピン海プレート」と「北米プレート」の境界で起きたということです。
 SNS上では「首都直下地震かと思った」といった投稿が相次いでいますが、マグニチュードは5.3と首都直下地震と規模が大きく異なります。
 また、専門家は今回の地震を従来の地震活動だとして首都直下地震と関連はないとしています。
 一方、関東大震災から去年9月で100年が経過し、首都直下地震はいつ起きてもおかしくないと指摘されています。
 21日の地震をきっかけに、改めて自宅の備蓄を確認するとともに、家具の固定をしたり家族と地震が起きたときの対応を話し合ったりして備えを進めることが大切です。

 専門家 “今後数日間 同程度の規模の地震に注意”

 今回の地震について、政府の地震調査委員会の委員長で東京大学の平田直 名誉教授は、「震源となった茨城県南部を含む関東南部では、震度5弱程度の揺れを伴う地震がたびたび起きている場所だ。今後数日間、特に2、3日ほどは同じ程度の規模の地震に注意し、地震活動の状況は気象庁の情報も参考にしてほしい。耐震化していない住宅などは建物への影響が出るおそれがあるため安全な場所に身を寄せるようにしてほしい」と話していました。

 専門家 ”従来の地震活動と考えられるが日頃から備えを”

 栃木県と埼玉県で震度5弱の揺れを観測した地震について、東京大学地震研究所の佐竹健治教授は「関東地方は東から『太平洋プレート』が、南から『フィリピン海プレート』がそれぞれ沈み込んでいるので、さまざまな場所や深さで地震が発生する。茨城県も地震が多く発生する地域で、地震の規模の大きさからしても、それほど珍しくはない」と指摘しています。
 そのうえで、「首都直下地震や、能登半島地震、千葉県東方沖の地震との関連はなく、従来の地震活動と考えられるが、日頃から地震への備えを進めてほしい」と呼びかけています。

 林官房長官 “原発の異常や人的被害はないと報告”

 林官房長官は午前の記者会見で「東海第二原子力発電所をはじめ原子力施設に現在のところ異常はなく、午前10時の時点で人的な被害もないと報告を受けている。電力や水道、通信も現時点で被害の情報はない。引き続き震度5弱程度の地震の発生に注意し、揺れの強かった地域では自治体の避難情報などにも注意して行動するようお願いしたい」と述べました。

 鉄道影響

 新幹線 すべて運転再開

 JR東日本によりますと、地震による影響で運転を見合わせていた東北新幹線の東京駅と新青森駅の上下線は運転を再開したとということです。
 また、北陸新幹線と上越新幹線は、午前10時40分すぎまでにいずれも運転を再開しました。
 一部の列車には遅れが出ているということで、JR東日本ではホームページなどで最新の情報を確認するよう呼びかけています。

 首都圏の在来線 通常どおり運行

 JR東日本によりますと、午前9時15分現在首都圏の在来線は通常どおり運行していて地震の影響はないということです。

 栃木 宇都宮線と両毛線 通常の運行に

 JR東日本によりますと、宇都宮線と両毛線は一部の区間で速度を落として運行していましたが、安全が確認されたため、通常の運行に戻ったということです。
 ただ、今もダイヤが乱れていて、宇都宮線では50分ほど、両毛線では20分ほどの遅れが出ているということです。
 このほか、栃木県内の東武線、宇都宮市と隣の芳賀町を結ぶLRT=次世代型路面電車、それに栃木県と茨城県を結ぶ真岡鐵道は通常どおり運行しているということです。

 東武アーバンパークライン 運転再開

 東武鉄道によりますと、地震の影響で東武アーバンパークラインの大宮駅と春日部駅の間の上下線で運転を見合わせていましたが、安全が確認できたとして午前11時前に運転を再開しました。

 原発影響

 東海第二原子力発電所 異常なし

 日本原子力発電によりますと、先ほどの地震で茨城県東海村にある東海第二原発では新たな異常は確認されていないということです。
 また、原発の周辺の放射線量を測定するモニタリングポストの値にも変化はないということです。先ほどの地震で東海村では震度3の揺れを観測しました。
 また、原子力規制庁によりますと、茨城県東海村にある日本原子力研究開発機構の使用済み核燃料の再処理施設、それに同じく震度3の揺れを観測した茨城県大洗町にある高速実験炉「常陽」など、茨城県内の原子力施設ではこれまでのところ先ほどの地震による異常は確認されていないということです。

 被害情報

 警察庁 “被害情報は入っていない”

 警察庁によりますと、午前9時すぎの地震では、これまでのところ被害の情報は入っていないということで、引き続き、情報収集にあたっています。

 栃木 下野市 小学校で天井板が落下など建物被害

 エレベーターの停止解消震度5弱の揺れを観測した下野市などによりますと、これまでのところ、地震によるけが人の情報はありませんが、建物の被害が出たという通報が数件、寄せられているということです。
 このうち、市内の国分寺小学校では、体育館の物置などとして使われている倉庫で、天井の石こうボードが8枚はがれ落ちたということです。
 はがれ落ちたボードは畳15畳ほどの大きさになるということですが、倉庫は体育館の2階にあり児童などがふだん立ち入ることはないということで、けがをした教員や児童はいませんでした。
 また、コミュニティセンターの「友愛館」では、多目的ホールと和室で、天井の一部の石こうがはがれ落ちたということです。
 このほか、JR宇都宮線の小金井駅と自治医大駅では、地震のあと、構内のエレベーターが停止していましたが、正午ごろに復旧したということです。

 埼玉 加須市 中学校の天井パネルが落下

 震度5弱の揺れを観測した埼玉県加須市の北川辺中学校では地震のあと、校舎の廊下の天井から長さ2メートルほどのアルミ製のパネルが落下しているのが見つかりました。
 落下したパネルはアルミ製で長さ2メートル、幅30センチ、重さは3キロほどで、特別教室のある校舎と渡り廊下とをつなぐ部分の天井に取り付けられていました。
 地震が発生した時は授業中で、生徒や教職員にけがはなかったということです。
 学校は地震の揺れで外れたものとみていて、落下したパネルのとなりにもう1枚、長さ1メートルほどのパネルが残っているため、この場所を立ち入り禁止にしています。

 埼玉 加須市 公共施設などでエレベーター停止も

 市内では地震のあと、市の公共施設の中で、いずれも複合施設の「パストラルかぞ」と「キャッスルきさい」、それに鴻茎小学校、大利根地域の福祉会館と、東武鉄道の加須駅と花崎駅でエレベーターが停止していることが確認されていて、業者が順次、復旧作業を進めているということです。

 首都圏 “複数のエレベーターが停止” 保守管理会社

 NHKがエレベーターの保守管理会社20社余りに取材したところ、首都圏では午前10時の時点で少なくとも5社が「地震の影響で運転を停止したエレベーターがある」と話しました。具体的な台数は確認中だということで、各社で復旧作業にあたっているということです。

 エレベーターが停止したら

 都市部でエレベーターが非常停止した場合は外部につながる非常ボタンを長押ししてください。
 すぐにつながらない場合も、諦めずに何度も試すことが大切です。
 また、閉じ込められていることを外に知らせるには、音を出すことが有効です。
 固いもので音を響かせるようにたたくと外に聞こえやすいほか、ホイッスルがあれば大きな音がでます。

 交通影響

 東北自動車道 事故や通行止めの情報なし

 東日本高速道路によりますと東北自動車道は午前9時40分時点で地震による事故や通行止めの情報は入っていないということです。
 高速道路を走行中の車の中にいたNHKの記者によりますと車の流れはスムーズで目立った渋滞はありません。
 浦和インターチェンジ付近の電光掲示板には「地震の影響はない」という表示が出ていました。

 電気・ガス影響

 停電なし 東京電力

 東京電力パワーグリッドによりますと、午前11時現在、関東の1都6県で地震による停電は発生していないということです。

 ガス漏れなし 野田市 鎌ケ谷市 千葉

 千葉県内では野田市と鎌ケ谷市で震度4の揺れを観測しました。
 野田市の一部地域にガスを供給している「野田ガス」によりますと、地震の発生直後、「ガスが止まった」という問い合わせが複数、寄せられたということです。各家庭に設置されているガスメーターの安全装置が作動してガスの供給が止まったとみられ、ガス漏れに関する情報は入っていないということです。
 また、鎌ケ谷市にガスを供給している「京葉ガス」にも、ガスが止まったという連絡が寄せられているものの、ガス漏れが起きているなどの情報は入っていないということです。

 注目

 ガスが止まった場合の復旧方法は

 地震の際、揺れが大きいと家庭ではガスメーターの安全装置が働いてガスが止まることがあります。
 利用者の操作で復旧が可能なため大手ガス会社ではメーターの場所や操作方法を日頃から確認しておいてほしいと呼びかけています。
 東京ガスによりますと、取り扱っている家庭用のガスメーターは、震度5程度以上の揺れを感知した場合、安全装置が働いてガスの供給を自動的に止める仕組みになっています。
 21日も揺れが大きかった栃木県や茨城県の利用者からの「ガスが止まった」などという問い合わせが普段よりも目立ったということです。
 ガスメーターにある赤いランプが点滅していると安全装置が作動したことを示していますが、多くの場合は利用者の操作で復旧させることができます。
 まずはすべてのガス機器の使用を止めて周囲でガスのにおいがしないことを確認してください。
 そして、メーターにある「復帰ボタン」のキャップを外してボタンを2秒程度奥までしっかり押します。
 およそ3分たつと赤いランプの点滅が消え、ガスが使えるようになります。
 メーターによっては
 ▽点滅ランプがなく電子パネルにガスが止まったことを表示するタイプや、▽「復帰ボタン」にキャップがないタイプもあります。
 東京ガスではこうした手順で対応しても復旧しない場合には、ガスの供給に関する問い合わせ窓口に連絡してほしいとしています。
 東京ガスネットワーク株式会社の防災・供給部の佐治亮宏課長は「家庭用のガスメーターは少しわかりづらい所にあることが多いので、地震があったときに慌てず対応できるよう平時から場所を確認しておくなどして備えを進めてほしい」と話していました。

 震度5弱 埼玉県は2021年 栃木県は2022年以来

 気象庁によりますと、栃木県で震度5弱の揺れを観測したのは2022年3月16日に福島県沖で発生したマグニチュード7.4の地震以来で、このときは栃木県高根沢町で震度5弱の揺れを観測しました。
 また、埼玉県で震度5弱を観測したのは2021年10月7日の千葉県北西部を震源とするマグニチュード5.9の地震以来で、このときは埼玉県川口市で震度5強の揺れを観測しました。

 注目

 都市部の揺れの注意点は

 気象庁によりますと、一般的に震度5弱の揺れが起きた場合、▽棚にある食器や本が落ちたり、▽固定していない家具など不安定なものが倒れたりすることがあります。
 また、屋外では揺れによって▽地盤に亀裂が生じたり▽落石や崖崩れが起きたりするおそれもあります。
 倒れやすいものや崖の近くなど危険な場所には近づかないようにしてください。
 屋内では割れた食器やガラスなどがあると片づけをする場合などに思わぬけがをするおそれがあります。
 決して無理をせず、室内を歩くときはスリッパや靴をはくようにしてください。
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