[2024_03_29_03]美浜・高浜原発の運転認める決定 住民申し立て退ける 福井地裁(NHK2024年3月29日)
 
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美浜・高浜原発の運転認める決定 住民申し立て退ける 福井地裁

 15:53
 福井県にある関西電力の美浜原子力発電所3号機と高浜原発の1号機から4号機について、福井地方裁判所は、住民たちが老朽化による事故の危険性などを主張して運転しないよう求めていた仮処分の申し立てを、いずれも退ける決定を出しました。

 “経年劣化想定した耐震安全性評価 規制委判断は合理的” 裁判長

 福井県などの住民は、去年とおととし、関西電力の美浜原発3号機と高浜原発1号機から4号機について、設備の経年劣化に加えて巨大地震への耐震性が不十分で重大な事故が起きる危険性があるなどと主張して、関西電力に対し、運転しないよう求める仮処分を、それぞれ申し立てました。
 これについて、福井地方裁判所の加藤靖裁判長は29日、決定を出し、この中で、原発で想定される地震の揺れの強さについて、「原子力規制委員会の判断などに見逃しがたい誤りや欠落は見当たらない」などと指摘し、このうち美浜原発3号機については、震源となる活断層との距離が1キロ以上離れているとした上で「震源に極めて近い場合にあたらないとした判断は、不合理とは言えない」としました。
 老朽化した原発の危険性についても、「経年劣化を保守的に想定した上で耐震安全性評価を行っていて、規制委員会の判断は合理的だ」などと指摘しました。
 また、避難計画に不備があるとする住民側の主張については、原発自体の安全性を考慮せずに無条件に事故が起こるという前提は適切ではないなどとした上で、「計画に不備があれば直ちに地域住民に被害が及ぶ具体的な危険があると認めることはできない」などとして、申し立てをいずれも退けました。
 原発の運転は、東京電力福島第一原発の事故のあと、原則40年に制限されていますが、関西電力の美浜原発3号機と高浜原発1号機と2号機は、原子力規制委員会の認可を受けて、運転開始から40年を超えて再稼働しています。

 仮処分申し立てた住民ら「不当決定」

 福井地方裁判所の前では、仮処分を申し立てた住民たちが、「命と暮らしを奪う不当決定」とか「能登半島地震を顧みない決定」などと書かれた紙を掲げました。
 集まった支援者からは、ため息や「日本の司法は終わった」などという声があがっていました。

 住民側の代理人弁護士「非常に残念で不当」

 福井地方裁判所の決定に、住民側の代理人の井戸謙一弁護士は「大変残念な結果になりました。不当決定というふうに言っていいと思います。原発はどれだけ安全性を高めても事故をゼロにはできない。福井地方裁判所は大阪高等裁判所と同じで、『事故が起こる具体的危険性の立証に成功していないから避難計画については検討するまでもない』としていて、非常に残念で不当だと思う」と話していました。

 関西電力「主張をご理解いただいた結果」

 福井地方裁判所の決定について、関西電力は「当社主張を裁判所にご理解いただいた結果であると考えている。引き続き、安全性や信頼性の向上に努め、今後も立地地域をはじめ、社会の皆様のご理解を賜りながら、高浜原発と美浜原発の運転や保全に万全を期していく」などとコメントしています。

 高浜町長「安全最優先に 今後も慎重かつ丁寧な運転を」

 井地方裁判所の決定について、関西電力高浜原子力発電所1号機から4号機がある福井県高浜町の野瀬豊 町長は「事業者には引き続き安全を最優先に、今後も慎重かつ丁寧な運転を継続していただきたい。また、政府には引き続き原子力の重要性や安全対策などについて国民理解の促進をお願いしたい」とするコメントを出しました。

 美浜町長「立地地域の安全安心の確保に尽力を」

 福井地方裁判所の決定について、関西電力美浜原子力発電所3号機がある福井県美浜町の戸嶋秀樹 町長は、「司法の決定に対して意見を述べる立場にないが、引き続き国や事業者は、安全最優先とする発電所の運営管理や立地地域の安全安心の最大限の確保に尽力するよう努めてほしい」とするコメントを出しました。
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