[2024_04_05_03]珠洲原発阻止 再び脚光 住民の闘い記す本 13年ぶり増刷 山秋さん「運動に学び、無関心乗り越えたい」(東京新聞2024年4月5日)
 
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珠洲原発阻止 再び脚光 住民の闘い記す本 13年ぶり増刷 山秋さん「運動に学び、無関心乗り越えたい」

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 珠洲市で計画された原発の建設を阻止した住民の反対運動を追った「ためされた地方自治 原発の代理戦争にゆれた能登半島・珠洲市民の13年」(桂書房)が再々出版された。1月に起きた能登半島地震の震源が計画予定地に近く、改めて注目が集まった。筆者のライター山秋真(やまあきしん)さん(53)=神奈川県在住=は「珠洲に原発があれば大変なことになっていた。珠洲の人たちの運動から学ぶことは多い」と話す。 (松岡等)
 珠洲原発は北陸、関西、中部の3電力会社の共同事業。高屋、寺家の両地区を予定地にすることが公表されると、地元で反対運動が起きた。山秋さんは東京都内の大学4年生だった1992年に珠洲を初めて訪問。反対運動の中心的存在だった円龍寺住職の塚本真如(まこと)さんらと出会い、珠洲に通うようになる。
 本では、推進派と反対派が激しく争う93年の市長選や、選挙を無効とした最高裁判決後のやり直し選挙などをルポ。反対派住民の目線で立地地域が抱える過疎の問題にも目を向けた。原発立地のための土地取引を巡る脱税事件裁判についても記録。ゼネコン子会社や土地ブローカーがかかわった不可解な土地取引の実態を浮き彫りにした。
 電力会社が2003年に計画を断念して20年以上が経過したが、今回の地震で改めて脚光を浴びた。13年前の東京電力福島第1原発事故後に増刷したが、今回の地震後で在庫がなくなった後も注文が続いている。
 山秋さんは1月、高屋地区の人々と2次避難先の加賀市で再会。「珠洲でも若い人の中にはかつての原発問題をよく知らない人がいると聞いた。推進と反対の対立の中でもがきながら生きた歴史を伝え、改めてそのことに学ぶ一助になれば」と語る。
 政府が「原発回帰」にかじを切る中で起きた地震。「地球からの警告のよう。被災で大変な中でも話題にすることが大事だ。忘却にあらがい、無関心を乗り越えたい」と力を込めた。
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 山秋さんが出演するトークイベントが6日午後2時、東京・渋谷区文化総合センターである。93年の珠洲市長選に反原発派候補として出馬した樫田準一郎さんの孫・樫田那美紀さん、社会学者の上野千鶴子さん、NHKディレクターとして珠洲原発誘致やチェルノブイリ原発事故などを取材したジャーナリストの七沢潔さんらが登壇する。
 イベントはオンライン配信もある。申し込みは、チケットサイト「Peatix」のフォーム(https://ppcolloquium1.peatix.com)から。
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