[2025_03_03_01](東日本大震災14年)原発の活用容認が最多に 上毛新聞など25地方紙アンケート エネルギー価格上昇など背景(上毛新聞2025年3月3日)
 
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(東日本大震災14年)原発の活用容認が最多に 上毛新聞など25地方紙アンケート エネルギー価格上昇など背景

 19:00
 東日本大震災から14年を迎えるのを前に、上毛新聞など読者とつながる報道に取り組む全国25の地方紙は合同でアンケートを実施した。今後の原発政策のあり方について、2021〜24年と同じ選択肢で質問したところ、今年は原発の活用を望む声が増加に転じ、これまでで最も多くなった。23年に始まった東京電力福島第1原発の処理水の海洋放出に関連して、福島県産品の購入についても尋ねたところ「気にならない」が半数超で、割合は昨年とほぼ同じだった。
福島県産品の購入「気にならない」52%
 アンケートは震災10年を機に始めた協働企画「#311jp」の一環で、今年で5回目。LINE(ライン)や紙面で呼びかけ、1月24日から2月9日までに47都道府県から4473件の回答が寄せられた。
 政府は、改定したエネルギー基本計画で、脱炭素と安定供給の観点から原発を「最大限活用する」と明記。アンケートでは、原発について「運転延長は控え、基数を減らしながら活用すべきだ」を含めた活用容認は計58.0%で、参考値として過去4回と比較すると最も多かった。特に「増設や建て替えなど積極的に推進してよい」という回答は11.2%で初めて1割を超えた。
 これまでのアンケートで原発を容認する層は増加傾向にある。昨年は能登半島地震の発生で、原発の安全性に一時的に関心が高まったことを背景に減少したが、今回はエネルギー価格の上昇や化石燃料に代わる再生エネルギーの供給不安などを背景に、再び容認する向きが強まった形だ。
 福島第1原発の処理水海洋放出から1年余りが経過する中で、福島県の1次産品の購入についても質問。「全く気にならない」「あまり気にならない」の合計は52.0%で、昨年(51.2%)とほぼ同じだった。
 政府は改定したエネルギー基本計画で、同じ電力会社であれば廃炉作業中の原発とは別の原発敷地内での「次世代革新炉」の建て替えを容認。九州電力が廃炉を進める玄海原発1、2号機(佐賀県玄海町)の代わりに川内原発(鹿児島県薩摩川内市)での建設が可能になる。

 消極的理由で不健全

 明治大・勝田忠広教授(原子力政策)の話 昨年の能登半島地震を背景に原発への問題意識を持つ人が一時的に増えたが、社会全体としての危機感は広がらず、時間が経過するほど原発容認が増える従来の傾向に戻った印象だ。
 国や電力会社の取り組みの結果として原発への信頼感が高まり、容認に傾くなら良いが、日々の生活の中で危機意識が薄れていくのは望ましい在り方ではない。容認の理由も消極的なものが多く、不健全だ。
 再生可能エネルギーの導入や高レベル放射性廃棄物(核のごみ)を巡る問題などがある中、国や電力会社が原発政策や事業の失敗をごまかし、議論を避ける現状は好ましくない。

 アンケートは多様な意見を聞き取るのが目的で、無作為抽出の世論調査とは異なります。
 アンケート参加紙は以下の通り。
 北海道新聞、東奥日報、岩手日報、河北新報、秋田魁新報、福島民報、福島民友新聞、下野新聞、上毛新聞、神奈川新聞、新潟日報、北陸中日新聞、福井新聞、信濃毎日新聞、岐阜新聞、静岡新聞、京都新聞、中国新聞、愛媛新聞、高知新聞、西日本新聞、熊本日日新聞、南日本新聞、琉球新報、日本農業新聞
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