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[2025_02_19_06]脱炭素と成長 エネルギー基本計画 閣議決定 原発建設、費用は 風力、米の逆風も(東奥日報2025年2月19日) | ![]() |
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04:00 政府は18日、エネルギー基本計画と地球温曖化対策計画を閣議決定した。脱炭素電源を拡大し温室効果ガス排出削減と経済成長の両立を目指す。東京電力福島第1原発事故を踏まえた原発の依存度低減は撤回。原発頼みが鮮明で、国民負担による建設支援策も浮上。再生可能エネルギーは最大電源とするが課題は残る。温暖化に懐疑的なトランプ米大統領が脱炭素の機運に水を差す懸念も消えない。 「原発回帰への歯止めが崩れ、利用の在り方が変わる」。環境省幹部は新たなエネルギー基本計画から「原発依存度を可能な限り低減する」との文言が削られたことを、こう解説する。動いたのは経済産業省だ。計画には悲願の原発「建て替え」も明記。視線はすでに建設支援に向いている。 原発は脱炭素の主力とされ、2040年度の電源構成で2割程度とする目標だ。ただ建設費は巨額で、計画は「事業者が新たな投資をちゅうちょする懸念」を強調。国の予算措置があるGX(グリーントランスフォーメーション)推進機構の融資支援を視野に入れる。 建設費を電気料金に上乗せして回収する制度も探る。表向きは「何も決まっていない」(経産省幹部)が、同省の有識者会議では「料金転嫁し国民に負担してもらう」との意見が大勢だ。NPO法人「原子力資料情報室」の松久保肇事務局長は「国民生活に直結する。国会の場で議論されるべきだ」と訴える。 再生エネは40年度に4〜5割に増やし最大電源に位置付けるが、足元では22・9%(23年度)止まりだ。主力と期待される洋上風力発電は「40年までに3千万〜4500万キロワット」と従来目標と同水準。風力発電は羽根や駆動部分など主要部品を輸入に頼り、物価高によるコスト増がのしかかる。世界的にも撤退や事業縮小が相次ぐ上、トランプ氏は開発制限を指示しており、逆風が強まる。 政府の切り札が次世代技術のペロブスカイト太陽電池で、40年に約2千万キロワット導入を目指す。適地が少なく環境破壊の懸念もある従来の太陽光発電と異なり、建物の壁や窓にも設置できる。積水化学工業は昨年、量産を開始すると発表。実用化が焦点だ。 火力は現状の約7割から抑制するが、40年度でも3〜4割を使う。特に二酸化炭素(CO2)排出が多い石炭火力の段階的廃止に踏み込まず、どの程度残るかも不明だ。 温暖化対策計画は温室効果ガス排出の「35年度に13年度比60%減、40年度に73%減」を掲げるが、猛暑や豪雨など極端な気象現象が頻発する中、パリ協定が求める水準を下回っているとして環境団体などから批判が集まる。 計画案は昨年11月に公表。その約3週間前、米大統領選で気候変動対策に後ろ向きなトランプ氏が返り咲きを決めた。「高い目標を追い求める緊張感が低下したのは否めない」(環境省幹部) 18日は「GX2040ビジョン」も閣議決定。脱炭素を核に「日本を再び成長軌道に乗せていく」(石破茂首相)ことに躍起だ。ただ法政大の高橋洋教授(エネルギー政策)はトランプ氏再登板で「日本も(温暖化対策を)急がなくていいという雰囲気は出てくるだろう」と指摘。日本の脱炭素戦略は米国の動向に影響されそうだ。 |
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KEY_WORD:エネルギー政策_:FUKU1_:岸田首相_次世代-原発_検討指示_:再生エネルギー_:風力-発電_: | ![]() |
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