[2025_03_01_01]北陸電力、石炭火力の廃止を2度目の延期 浅尾環境相「大変遺憾」(毎日新聞2025年3月1日)
 
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北陸電力、石炭火力の廃止を2度目の延期 浅尾環境相「大変遺憾」

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 北陸電力富山新港火力発電所(富山県射水市)の石炭1号機(25万キロワット)の廃止が今年度から2028年度に先送りされることになった。廃止時期の変更は2度目。同社の発表を受け、浅尾慶一郎環境相は2月28日の閣議後の記者会見で、「電力の安定供給を確保する必要があるという事情があるとはいえ、大変遺憾だ」と述べた。
 浅尾氏の発言には背景がある。同じ敷地内での液化天然ガス(LNG)火力建設計画について、環境省は石炭火力からの「リプレース(建て替え)」として環境影響評価(アセスメント)の審査期間を短縮できると判断したが、そのときの「約束」が守られない事態が続いているのだ。
 国は東京電力福島第1原発事故後、電力不足に対応するため、建て替えで温室効果ガスや大気汚染物質の排出量を減らせる場合、アセスの手続きを簡略化できるとする通知を出した。
 北陸電力は10年、石炭1号機を廃止し、LNG火力に建て替える計画を発表。環境省は14年、LNG火力整備をアセス簡略化の対象とし、審査期間を9カ月から5カ月弱に短縮する意見を出した。このLNG火力は18年に営業運転を開始した。
 だが、同社は17年、石炭1号機の廃止時期を18年度から24年度に延期することを決定。今年2月27日にさらに4年先送りする計画を発表した。浅尾氏は会見で「事業者自らが作った計画なので、守っていただくことが大切だ」と苦言を呈した。
 同社は今回の廃止延期について、電気の供給力確保を理由に挙げる。志賀原発(石川県志賀町)の再稼働時期のめどが立たない中、電力需要の増加が予測され、さらに海外からの燃料調達環境の不安定化、24年1月の能登半島地震で石川県七尾市の火力発電所に被害が出たことなどが背景にあるという。
 同社は27日にLNG火力を増設する計画も発表したが、運転開始は早くても33年度。石炭1号機を28年度に廃止した場合、その後の安定供給に懸念が残り、同社は「他社からの電源調達を見込んで交渉中だ」としている。石炭1号機の稼働率は年平均65%だが、今後は年平均50%を下回るよう運用するなどして温室効果ガス排出量を減らしていくという。【山口智】
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