| [2026_02_22_03]【中部電力不正】安全軽視の責任をただせ(高知新聞2026年2月22日) |
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05:00 原発を再稼働させる動きが活発化する中、安全への取り組みは厳しく問われなければならない。不正は原子力事業の根幹を揺るがすことを重く受け止める必要がある。 中部電力浜岡原発(静岡県)の耐震設計に関わるデータ不正は、社内から問題視する声があったものの適切に対処せずに強行した可能性が浮上している。 地震や津波への対策強化は、東京電力福島第1原発事故の重大な教訓だ。再稼働へ向けた新規制基準適合性審査で、「基準地震動」は自然災害分野の重要な項目となる。浜岡原発は南海トラフ地震の震源域直上に立地する。地震動を小さく見せるようにデータを操作すれば安全設計の根幹が崩れる。 原子力規制委員会は、安全規制に対する暴挙だと強く非難した。不正データは、浜岡原発の永久停止を求めて周辺住民が起こした訴訟で中部電が裁判所に提出した反論書面にも使われていた。 規制委は昨年2月に外部からの情報提供で問題を把握し、同5月に中部電に調査を指示した。中部電にはそれよりも前に内部通報が複数回あったものの、放置していた疑いが出ている。 大手企業などは内部通報の制度が義務づけられている。企業内の不正の早期是正や通報者の不利益を防ぐためだ。中部電も窓口などを設けているが、機能しているのかどうか確認が求められる。中部電は、内部通報の有無などはコメントしていないが、不正に関わっていた部署内で過去に問題視する声が出ていたことは認めている。 そうした異論を抑え込み、不正を強行したとすれば極めて悪質だ。一部管理職は「安全性は変わらないから進めろ」と指示したとされる。 再稼働審査の早期通過をもくろんでの発言だろう。原発は停止中でも巨額の維持費がかかる。停止の長期化を避け、経営への打撃軽減を図りたい思惑が指摘される。揺れの過小評価は、施設の耐震補強にかかる時間や経費の削減とも無関係ではない。利益優先の姿勢では安全は脇へ押しやられる。 福島事故後は安全に対する設定が高くなり、難題の処理で再稼働に時間がかかることに担当現場には不満もあるようだ。しかし、データを都合良くねじ曲げることは許されない。不正が信頼性を高めることはないと強く認識する必要がある。 データそのものに不正がないかまで規制委がチェックするのは困難で、意図的な不正は見抜きにくいとされる。それでも不正が入り込まない方策を探るしかない。 中部電は原子力事業者の適格性に疑問が向けられる。浜岡原発を巡っては昨年11月、安全対策工事で正式な契約変更や清算手続きを行わなかった不祥事も発覚した。 データ不正の全容解明へ、規制委は中部電本店の立ち入り検査に入った。不正の背景や経営陣の関与の有無など明確にすべきことは多い。徹底した調査が求められる。 |
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