| [2026_01_26_05]新聞各紙(11紙)の「社説」の読み比べ 東電柏崎刈羽原発6号機再稼働5時間で停止… 原発を動かす資格も疑われる 規制委は不具合を見逃し監視機能は形骸化… 「規制する側が最大のリスク」に 政府の原発回帰は「教訓」放棄の暴走 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2026年1月26日) |
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04:00 1月20日に再稼働予定だった東電柏崎刈羽原発6号機。 しかし制御棒周りのトラブルが再発し、運転しながら解消することが困難とみて再稼働工程を中断し22日午前0時に原子炉停止作業に入りました。 そのまま止めておけと言いたいところですが、この事態を受けて、主要紙、地域紙、地方紙で多くの社説が掲載されました。 その多くは批判的、拙速、東電の信頼に疑問符、規制当局への批判もありました。 「新聞社説読み比べサイト」https://shasetsu.jp/から、無料で読むことができる新聞各社の社説(1月21日〜25日分)を対象に、再稼働について言及があるものを調べ、柏崎刈羽原発再稼働についての記事がある社を調べ、記事内容を要約してみました。 「論調」「トーン」というところは、社説内容に応じて新聞社の姿勢、記事の論調を筆者が評価したものです。 −−− ◎【1月21日】 1.「東京新聞」 論調:強い否定/再稼働白紙要求 トーン:「再稼働どころではない」と明確に断じる。 制御棒警報の設定ミスが1996年から続いていた事実、過去の不具合の多発、テロ対策不備を挙げ、慢心が大事故につながると警告。運転経験不足の問題も含め、「ほころびの積み重ね」を重大視し、再稼働を急ぐ姿勢を強く批判する。 ◎【1月22日】 2.「日本経済新聞」 論調:条件付き容認/安全第一強調 トーン:再稼働を電力需給改善の観点から評価しつつも、「安全・安心が 大前提」と明確に釘を刺す立場を取る。 警報不具合による停止を受け、原因究明を優先し、焦らず対応すべきだと東電に求める。再稼働前にも警報不具合があった経緯を踏まえ、「異常が見つかれば立ち止まるのをためらうべきではない」とし、運転再開に慎重姿勢を促す。テロ対策不備による過去の運転禁止命令にも触れ、不信感が完全に払拭されていない現状を認めている。 最終的には、福島の廃炉・賠償を遂行するためにも失敗は許されないとし、安全最優先を条件に再稼働を位置づける論調である。 3.「朝日新聞」 論調:再稼働否定寄り/構造的批判 トーン:再稼働を、日本の原発回帰政策全体への警鐘として位置づける。 東電の適格性、安全文化の定着にはなお疑問があるとし、制御棒警報設定ミスや過去のテロ対策不備を挙げて厳しく批判する。再稼働による収支改善効果は、巨額の廃炉・賠償費用に比べれば限定的であり、原発に頼ること自体が本末転倒だとする。 規制委の審査が「安全の保証ではない」点、避難計画や武力攻撃が審査対象外である点を強調し、制度的限界を指摘。 さらに、浜岡原発の不正問題を踏まえ、「規制の虜」への回帰を強く警戒し、原発に依存しない社会への転換を訴える。 ◎【1月23日】 4.「読売新聞」 論調:政策肯定寄り/慎重運用要請 トーン:再稼働そのものを日本のエネルギー安全保障・脱炭素の流れの中で肯定的に捉えつつ、東電には「特別な重み」があると強調する。 再稼働直後の停止については不安が残るとし、慎重の上にも慎重を期す必要があるとする。 原発政策の転換や国際情勢を踏まえ、原発の重要性が高まったとの認識を示す一方、地元住民の不信感、避難計画の実効性には課題が残ると指摘。国と県が連携して不安解消に努めるべきだとする。 東電の経営改革と福島復興の責務を強調しつつ、全体としては「安全第一で進めるなら再稼働は必要」との立場に立つ社説である。 5.「北海道新聞」 論調:厳格批判/資格否定に近い トーン:再稼働から5時間余りでの停止を重く見て、「原発を運転する資格があるのか」と正面から問いかける。 制御棒警報の不具合、長年続いた設定ミス、運転経験不足を挙げ、不安が一層高まったと評価する。過去のIDカード不正、書類紛失などを列挙し、安全文化の欠如を強調。 規制委の存在意義についても疑問を呈し、浜岡原発の不正を見抜けなかった点を引き合いに、全原発の再点検を求める。 6.「沖縄タイムス」 論調:再稼働否定寄り/民主主義的問題提起 トーン:再稼働直後の停止を踏まえ、「このまま再稼働を進めていいのか」と根本から問い直す。 相次ぐトラブルは原発運転の難しさを示しており、地元住民の賛否が割れる中での事態を重く見るべきである。 問われる東電の適格性も。過去のデータ改ざんやテロ対策不備に加え、他社でもデータ不正が発覚するなど、規制基準だけでは安全を確約できない現状がある。 巨額の事故処理費用を抱える東電が「経営改善」を目的として再稼働を急ぐ姿勢には、事業者としての適格性に疑問が残る。 国民的議論の必要性がある。コスト面でも不透明な点が多く、負担を次世代に回す恐れがある。エネルギー政策は国の将来を左右する重大事項であり、次期衆院選の重要争点として国民的な議論を尽くすべきだ。 7.「信濃毎日新聞」 論調:厳格批判/再審査要求 トーン:警報不具合が長年放置されてきた点を「安全を偶然に頼っていた」と断じる。 再稼働直後に停止した事態を受け、東電の運転資格を厳しく否定する。制御棒の警報不備が30年間も放置され、安全性を「偶然」に頼っていた現状は、福島の教訓が生かされていない証左である。 規制の形骸化と政府の責任について、テロ対策施設が未完成のまま「猶予期間」という抜け道を利用して再稼働を強行した東電と、それを追認した原子力規制委員会の責任は重大である。政府の原発回帰姿勢がこの拙速な判断を後押ししている。 廃炉費用を捻出するための「経済性優先」の再稼働は本末転倒である。 現在の再稼働は白紙に戻し、抜本的な審査のやり直しが必要だ。 8.「毎日新聞」 論調:構造批判/国策責任追及 トーン:東電の適格性問題と政府の原発回帰政策を同時に批判する。 東電の適格性と安全文化への疑念を全面に。相次ぐ不祥事は「安全最優先」の文化が未だ根付いていないことを露呈しており、地域住民の約7割が不安を抱いている。経営陣には、経済性よりも安全を徹底する姿勢が厳しく問われている。 岸田政権以降、電力需要や脱炭素を理由に「原発依存度の低減」から「最大限活用」へと方針を転換した。しかし、浜岡原発でのデータ不正など業界全体の体質にも不安が残る中、経済成長を優先して事故の教訓を軽視することは許されない。 高市政権下で原発回帰が加速しているが、実効性のある避難計画や最終処分場の問題は解決していない。安全最優先という大前提を欠いたままでは、国民の信頼を得ることは不可能である。 ◎【1月25日】 9.「福島民友」 論調:厳格批判/適格性否定に近い トーン:再稼働直後の制御棒トラブルを、単なる技術的失敗ではなく、「原発を安全に運用する適格性」と「福島第一原発の廃炉を完遂する能力」の双方を疑わせる重大事案と位置づけている。再稼働からわずか5時間余りでの停止は、十分な準備を経たはずの再稼働であったという東電の説明と明確に矛盾し、管理能力の欠如を露呈したと指摘する。特に、警報系の別不具合が再稼働前に判明していながら、わずか1日延期しただけで再稼働に踏み切った点を、「焦り」「自己都合」と断じ、安全優先の姿勢が見られないと厳しく批判する。 また、不具合を把握しながら再稼働を認めた原子力規制委員会の判断についても、安全確保より拙速を優先したとして非難している。 さらに、柏崎刈羽再稼働を東電の経営改善策と位置づける考え方を明確に否定し、経営安定は安全軽視の免罪符にはならないと断じる。 結論として、度重なる不祥事を生む組織風土こそが、再稼働と廃炉の双方を阻む根本原因であり、東電はその点を猛省すべきだと訴える。 10.「新潟日報」 論調:事実重視/経緯検証型(批判含み) トーン:再稼働から停止に至るまでの時系列を詳細に追いながら、東電の準備や判断の妥当性に疑問を投げかけている。 制御棒引き抜き開始から臨界到達、警報発生、停止決定までを具体的に描写し、問題が最重要設備である制御棒系統で起きた点を重く見ている。再稼働前の定例試験でも同様の警報不具合が起きていたこと、当初予定が設定ミスで延期されていたことを踏まえ、準備が万全だったと言えるのか疑問を呈する。 東電が「長期停止後の不具合は想定内」と強調する姿勢に対しても、停止中も動作確認を続けていた設備である点を挙げ、説得力に欠けると示唆している。 所長が「自分の判断で停止した」と述べた点についても、実際には停止せざるを得ない状況だったと評価し、主体的判断という説明を相対化する。原因が不明なままでは再起動できず、停止が長期化する可能性も指摘し、営業運転開始の見通しが立たない現状を冷静に伝えている。 11.「熊本日日新聞」 論調:安全優先要求/不信感重視 トーン:再稼働直後の停止を「不安を感じさせるスタート」と位置づけ、福島第一原発事故当事者である東電に対する根強い不信感を前提に論を展開する。 警報に応じて停止した判断自体は当然としつつも、日程ありきで稼働を急ぐ姿勢を戒め、安全最優先を徹底すべきだと強調する。 長期停止による運転経験不足(運転員の4割が未経験)を懸念材料として挙げ、再稼働後の工程管理にも慎重さを求める。また、東電が抱える巨額の廃炉・賠償費用と、再稼働による収益改善期待との関係を整理し、経営再建と安全確保の両立が描けていない点を問題視する。 浜岡原発での地震データ不正にも言及し、電力業界全体に「経済性優先・不都合隠し」の体質が残っていないかを問いかける。 原発を動かす以上、安全軽視は業界全体の信頼を揺るがすと警告する社説である。 −−− 各紙の論調には幅があるものの、共通しているのは「再稼働は、安全文化・運転適格性への不信を解消しないまま進められた」という問題提起です。 多くの社説は、制御棒駆動系の警報設定ミスが長期間放置されていた事実、再稼働の直前あるいは直後になっても問題発生が相次いだ点、経営改善の目的が再稼働判断に影を落としている可能性、規制委の判断が拙速ではなかったかという点について重く見ています。 福島第一原発事故を引き起こした東電の原発再稼働は、ただでさえ多くの人々が懸念をしている中でのことです。 東電の現場はそれなりに懸命に取り組んでいるのかもしれませんが、経営陣や政府の再稼働圧力に加え、老朽化やおそらく中越沖地震のダメージも残っている設備では、まともに動かすことすら困難な『化け物』と化しているのかもしれません。 そんな原発を再稼働させることへの危機感が、突如降って湧いた総選挙の騒ぎでかき消されるのではと懸念します。 東電前、規制庁前の抗議行動などに取り組みながら、再稼働を止める世論を作り上げましょう。 上に掲載した11紙の社説掲載社に対しての励まし、意見表明、投書なども取り組んでみると良いかもしれません。 社説で掲載するということは、新聞社としての公式な意見表明であり、経営層の意向が完全に反映されているわけではないものの、基本的には報道部門や編集部門が論説委員会議などを通じて独自の判断で作成する「会社としての主張」です。 今回、これだけ多くが独自の視点で掲載していることから、まとめ記事としてみました。 関心のある社説を実際の新聞社サイトで確認してみてください。 |
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