| [2026_01_13_01]国土地理院が能登半島の活断層図公開 志賀原発に活断層の存在を示唆 「安全側に評価」は空語にすぎない 断層連動を直視しない原子力規制と北陸電力の無責任 山崎久隆(たんぽぽ舎共同代表)(たんぽぽ2026年1月13日) |
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04:00 第1382回原子力発電所新規制基準適合性審査会合において、原子力規制庁および事業者である北陸電力は、敷地周辺に分布する断層群、特に海士岬沖断層帯および羽咋沖撓曲をめぐる評価について議論を行った。 しかし、この会合で露呈したのは、「安全側に評価」という言葉とは裏腹の、リスクを小さく見せるための制度的共犯関係である。 1.背景にあるのは 国土地理院は2025年12月23日、能登半島北部を対象とした2万5千分の1活断層図を新たに整備して公開した。 空中写真判読を主体に、地形の変形や断層地形の分布などを整理したもので、阪神・淡路大震災以降整備が進められている「活断層図」の能登北部版である。 今回の公開では12本の活断層が確認され、その中には志賀原発周辺の貝田(かいだ)断層、西海(さいかい)断層などが含まれている。 この公表に際し、国土地理院は志賀原発敷地を南北に貫く約3kmの「地質線」について、現段階では地質データが十分にあるわけではないものの、空中写真判読に基づき「活断層と判断することが妥当」との見解を示した。 ただし、地層や地質掘削などの詳細データがないため「確定的活断層」とは断定できず、「推定活断層」としている。 2.規制庁は「不確実性」を管理しようとしない 原子力規制庁は、審査の中で繰り返し「不確実性がある」「慎重な評価が必要」と述べながら、最終的には事業者による評価結果を前提として議論を進めることを自ら選択している。 「確認できなかった」「資料は提示されている」といった説明を、そのまま安全側の判断基礎に据えることは、不確実性を管理するのではなく、無視する行為である。 能登半島地震を含む近年の地震活動は、断層面の傾斜方向や地質構造の違いを超えて、複数の断層が一連の活動として破壊され得ることを示している。それにもかかわらず、規制庁は「同時活動しない可能性を示唆するデータ」を並列的に扱い、安全側に評価すべきか否かの判断を事業者の裁量に委ねている。 これは規制ではない。責任放棄である。 3.北陸電力は「今までに説明している」という言葉で影響なしとの立場 北陸電力は、膨大なボーリング調査や剥ぎ取り調査、物理探査を実施したと繰り返し述べる。 しかし、調査量の多寡は、安全性の高さを意味しない。 問題は、調査結果から導かれる評価を不確実性を含めて設計・想定へ反映されているかである。 事業者は、海士岬沖(あまみさきおき)断層帯と羽咋沖撓曲(はくいおきとうきょく)の連動について、「考慮しない」「検討しない」という結論を維持しながら、その理由として地質構造の違いや断層面の関係を挙げる。 しかし、これらはいずれも同時活動を否定する決定的根拠ではないことが審査の中でも事実上確認されている。 それでもなお連動評価を回避する姿勢は、安全性よりも、設計条件の増大を避けたいという事業者都合を優先していると言わざるを得ない。 4.「段階的説明」を求める規制庁の自己矛盾 規制庁は、地震動評価や津波評価について「論点が多いため段階的に説明すべきだ」と指摘した。しかし、これはこれまでの審査が不十分だったことを自ら認めているに等しい。 にもかかわらず、規制庁は過去の説明や評価を白紙に戻すこともなく、審査の前提を維持したまま「説明方法の改善」に矮小化しようとしている。 これは、審査の実質を問うのではなく、手続の体裁を整えることに終始する姿勢であり、原子力規制が形式化している象徴的な場面である。 5.「安全側に評価」とは、最も不利な想定を採ることだ 安全側に評価することとは、「連動しない理由を集めること」ではない。 連動する可能性を排除できない以上、それを設計・評価に反映させることである。 規制庁がこの原則を明確に貫かず、北陸電力がその曖昧さに依拠して評価を小さく想定して実施する限り、原子力安全規制は制度的に担保されない。 福島第一原発事故が示したのは、「想定外」を切り捨てた結果が、取り返しのつかない被害をもたらすという厳然たる事実である。 6.問われているのは「誰が責任を負うのか」だ 今回の審査会合で最も欠落しているのは、判断の責任主体の明確化である。 北陸電力は「規制に従っている」と言い、規制庁は「事業者の評価を確認している」と言う。しかし、その間に、誰も最終的な安全責任を引き受けていない。 規制庁が本来果たすべき役割は、事業者の説明を整理することではない。事業者に不利なものも安全側の判断を強制することである。 それを怠るならば、原子力規制は再び「事故を防げなかった制度」として歴史に刻まれるだろう。 |
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