[2019_09_25_05]東海第2 対テロ施設に610億円 原電、規制委に審査申請(茨城新聞2019年9月25日)
 
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東海第2 対テロ施設に610億円 原電、規制委に審査申請

 日本原子力発電(原電)は24日、東海第2原発(東海村白方)にテロ対策となる「特定重大事故等対処施設」(特重施設)を新設するため、原子力規制委員会に審査を申請した。工事費は約610億円で、東海第2の電力を受電する東京電力と東北電力に資金支援の相談をしているという。原電は、設置期限の2023年10月までの完成を目指す方針。
 東電福島第1原発事故を踏まえた新規制基準では、航空機衝突などのテロ行為に備えた特重施設の設置が義務化された。原電は、遠隔で原子炉の冷却や減圧ができるよう、注水設備や予備電源、緊急時制御室などを設置するとしている。
 工事費について原電は、東電と東北電に支援の相談をしているが、現時点で回答は得ていないという。東海第2の安全対策費は、原発本体に必要とされる約1740億円を合わせると、総額約2350億円。
 工期を巡り、規制委は特重施設の設置期限について「原発本体の工事計画認可から5年」としているが、関西、四国、九州3電力の一部原発では、期限までに間に合わない見通しになっている。東海第2は期限まで残り約4年となっているが、原電は先行原発の事例を調査・検討した結果、期限に間に合うとしている。
 ただ、規制委の審査が長期化すれば、期限までに必要な国の許認可を得られない可能性もある。加えて全国で初めて周辺5市も対象になった地元同意や、半径30キロ圏に住む約94万人の避難計画策定の見通しも立っておらず、具体的な再稼働時期は見通せていない。
 東海第2は18年9月に国の新規制基準審査に合格し、同11月に原則40年を超える運転延長の認可を得て最長38年まで運転可能になった。
 大井川和彦知事は「テロ対策の問題は県の住民説明会でも意見が上がっている。(県の原子力安全対策委ワーキングチームで)特重施設が機能するか議論の対象になる」と指摘。山田修同村長は「安全対策の一環で、事業者としてやらなければいけないこと。きちんと審査を受けて進めていただきたい」と話した。(高岡健作、三次豪)

★特定重大事故等対処施設
意図的な航空機衝突などのテロ攻撃を受け、原子炉が大規模破壊されても遠隔操作で冷却を維持し、放射性物質の大量放出を防ぐための施設。緊急時制御室や予備電源などを備える。原子炉建屋との同時被災を避けるため、100メートル以上離すよう定められている。施設の詳細は秘密事項で、原子力規制委員会の審査も非公開。原発本体施設の詳細設計をまとめた工事計画の認可から5年以内に設置する必要があり、東海第2原発は2023年10月17日が期限。
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