[2019_09_19_08]原発事故 東電旧経営陣に無罪判決 福島の人たちは…(NHK2019年9月19日)
 
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原発事故 東電旧経営陣に無罪判決 福島の人たちは…

 東京電力の旧経営陣3人が原発事故を防げなかったとして強制的に起訴された裁判。全員に無罪判決が言い渡されたことについて福島県では「残念だ」、「納得できない」という声が聞かれました。

福島市では

 福島市の19歳の女性は「被害者の気持ちからすれば残念だと思います。無罪だとしても何らかの形で責任を取ってほしいです」と話していました。
 また福島市の63歳の男性は「有罪でも無罪でも、復興が進むかどうかには関係がないかもしれませんが、釈然としない気持ちです。旧経営陣はこれまでの裁判で立場がある中で発言してきたと思いますが、本当はどう思っているのか聞いてみたいです」と話していました。

郡山市では

 福島県郡山市に住む50代の主婦は「原発事故で子どもと一緒に2年間、山形県に自主避難した経験があり、無罪は納得できません。いまだに避難している人たちがいて、帰りたくても帰れない場所があります。無罪とはいえ、3人には何らかの形で償ってほしいです」と話していました。
 一方、郡山市に住む別の女性は「津波の影響が大きかったので無罪はしかたがないと思います」と話していました。

大熊町の災害公営住宅では

 福島第一原発が立地する大熊町の災害公営住宅では、今回の判決に対しさまざまな意見が聞かれました。
 70代の男性は「私の家は公営住宅のすぐ近くにあるが、いまだに帰れない状況が続いている。原発事故は人災だと思うので判決には納得がいかない」と話していました。
 一方、別の70代の男性は「事故は天災によるものだと考えているので、無罪というのは当然の結果だと思う」と話していました。

南相馬市の災害公営住宅では

 原発事故により避難を続けるおよそ230世帯が入居している福島県南相馬市の災害公営住宅「南町団地」では、浪江町から避難し、この団地の「代表管理人」を務める鶴島一浩さん(64)と妻の孝子さん(61)が判決を伝えるニュースを見守りました。
 そして3人全員に無罪の判決が出されたことが速報されると、2人は静かにじっと画面を見つめたあと、強い口調で判決を批判しました。
 一浩さんは「災害公営住宅では地元に帰還できないうえに、周囲にもなじめず、孤独を抱えている人が多い。こんな人生を歩まなければいけなくなったのは東京電力の責任で、絶対に納得しません。旧経営陣が責任をとれないなら国が責任をとるべきだと思います」と話していました。
 孝子さんは「この苦しみをどこにぶつければいいのでしょうか。少しでも対策をとっていれば事故は起きなかった。これだけ大きな影響がある事故なのに責任がない、無罪というのはありえないと感じます」と話していました。
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