[2019_07_08_03]原発耐震性を再評価へ 規制委案、未知の活断層に備え(日経新聞2019年7月8日)
 
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原発耐震性を再評価へ 規制委案、未知の活断層に備え

 原子力規制委員会の検討チームは8日、これまで知られていない「未知の活断層」への対策強化を全国の原子力発電所に促す報告書案をまとめた。規制委は電力各社に原発の耐震性を改めて評価するよう今後求める。2012年の発足以来、規制委は不十分とされてきた原発の地震や津波などの自然災害への対策を見直してきた。今後、各社の意見も踏まえ、対応の期限などを決める。
 周辺に目立った活断層がない九州電力の玄海原発(佐賀県)や川内原発(鹿児島県)で対応が必要との見方が出ている。
 地震の専門家などが入った検討チームは近く、規制委に結果を報告する。規制委は各原発で想定していない未知の活断層による地震の揺れへの耐震性を再評価するよう各社に指示する見通しだ。再評価には1年近くかかり、追加の対策工事となれば数年以上がかかる見通し。
 今回の耐震性再評価では、猶予期間をどの程度設けるかが焦点となる。運転中の原発に停止を求めるかどうかは現時点では決まっていない。再稼働に向けた原発の審査にも影響が出る可能性がある。
 11年3月に起きた東京電力福島第1原発事故の結果、日本の原発は津波や地震対策が十分ではないという批判を国内外から受けてきた。そのため新たな知見を基に作った新規制基準を既に建設済みの原発にもさかのぼって適用できるようにした。
 原発では主に「周辺に存在する活断層による地震」と「未知の活断層による地震」を想定し、最大の揺れに対して安全機能を保つ耐震性が求められている。
 未知の活断層による地震は、主に04年に北海道留萌地方で起きた地震のデータを全国の原発で想定してきた。
 今後は最新の知見を盛り込み、00年以降に国内で起きた計89の地震データを基に刷新する。そのため各原発ごとに未知の活断層が動いた場合の最大の揺れを計算し直す必要が出てくる。
 従来の想定よりも揺れが大きくなれば、建物が耐えられるかを再評価する。耐えられないと判断した場合は、追加工事が必要になる。
 日本周辺には約2000の活断層があるとされ、未知の活断層が多数ある。今回の再評価で追加工事など大きな影響を受けやすいのが、敷地内や周辺に目立った活断層が確認されていない原発とされる。九州電力の玄海原発や川内原発が相当する。
 敷地周辺に大きな活断層がある原発では、既に強い揺れを想定して耐震性を確保しており、追加工事までの影響は及ばないとみられる。
 規制委は4月、テロ対策施設の建設が期限に間に合わない原発に運転停止を命じる方針を示した。川内原発1号機は20年3月に停止に追い込まれる見通しだ。

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