[2012_12_31_01]「原発に活断層」規制委見解相次ぐ 四電、伊方に波及警戒 敷地内断層 再稼働判断時 確認も(愛媛新聞2012年12月31日)
 
 9月に発足した原子力規制委員会が、原発敷地内の断層を再評価し、将来活動する可能性がある活断層との見解を相次ぎ打ち出している。四国電力伊方原発(伊方町)は現時点で再評価の対象外だが、再稼働の判断などに影響を与える可能性もあり、四電は自らに余波が及ぶ事態を警戒、規制委の動きに神経をとがらせている。
 規制委による再評価の対象は、東北電力の東通原発(青森県)、北陸電力の志賀(石川県)、関西電力の大飯と美浜、日本原子力発電の敦賀、日本原子力研究開発機構のもんじゅ(以上、福井県)の6原発。旧経済産業省原子力安全・保安院の評価では、いずれも活断層の可能性を指摘する意見がありながら「グレー」とされてきた。
 このうち敦賀と東通の敷地内断層について、規制委は現地調査などを行い、活断層と結論付けた。特に敦賀は2号機の直下に活断層があるとされ、廃炉の可能性が取りざたされている。
 一方、伊方原発敷地内の断層に関しては今年8月、活断層ではないとする四電の調査結展を旧保安院が了承。四電によると、敷地内には8本の断層があり、2、3号機の直下を走る断層もある。ボーリング調査などからいずれも1千万年前以降の活動は認められず、四電は「活断層ではない」(柿木一高原子力本部長)との立場だ。
 ただ県原子力安全対策課は、旧保安院の判断を踏まえた上で「再稼働を判断する時にはあらためて規制委が確認することになるのではないか」と指摘する。
 加えて、伊方原発には南海トラフ巨大地震の震源域に含まれる問題もある。東日本大震災を受けた国の想定見直しで、震源域が伊方原発の地下約40キロまで拡大した。柿木本部長は伊方原発で震度5弱とする想定を挙け「大きく変わるとは思っていない」と強調するが、規制委の評価を受ける段階にはまだない。
 従来の安全性評価を大幅に見直す規制委。柿木本部長は「聞く耳を持たないというと言い過ぎかもしれないが、もう少し事業者の言い分を聞いて、議論を戦わせるベきではないか」と、批判とも戸惑いとも言い表せない心境を漏らしている。
(加藤太啓)
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