[2012_09_19_01]原子力規制委きょう発足 40年制限など課題山積(東奥日報2012年9月19日)
 
 19日に発足する「原子力規制委員会」は、東京電力福島第1原発事故を教訓に原子力の安全規制を一元化し、原子力規制への取り組みを刷新する。ただ発足が遅れたこともあり、原発の運転期間の40年制限や再稼働への対応など直面する課題は山積している。
 事故を起こした第1原発で、1号機が丸40年を迎える直前だったことなどを踏まえ、原子炉等規制法を改正、原発の運転期間を原則40年と定める制度が導入される。
 運転期間を法律で明示したのは初めてだが、同法は「規制委の認可を受けて1回限り延長することができる」と規定。延長は「20年を超えない期間」とし、最長60年の運転に道を開く内容で、疑問の声も出ている。
 委員長になる田中俊一氏は「40年超の原発は厳格にチェックし、運転させない姿勢で臨むべきだ」と強調。一方で原則を規制委が速やかに見直すとの規定があり骨抜き≠ノなる懸念も根強い。
 いずれも福井県にある関西電力美浜1、2号機や日本原子力発電敦賀1号機が既に40年を超えているほか、中国電力島根1号機や九州電力玄海1号機(佐賀県)などが次々と40年を迎える。規制委の判断に加え、こうした原発を抱える各電力会社の対応も注目される。

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 最新の科学知識について既存原発への反映を義務付ける「バックフィット」制度も導入。新たな基準に適合できなければ原子炉設置許可を取り消す。
 福島事故を踏まえて経済産業省原子力安全・保安院がまとめた安全対策などをベースに、規制委で詳細な基準づくりを進め、来年夏ごろまでにはまとめる見通しだ。
 東日本大震災を受けた原発周辺の活断層の見直しで、北海道電力泊原発など5原発で複数の活断層が連動した地震を考え、影響を評価する必要があるとされた。
 原電敦賀原発や北陸電力志賀原発(石川県)では、直下にある断層が活断層である疑いが浮上。関電美浜など4原発でも、敷地内の断層が重要施設に影響を与える恐れが指摘され、各電力会社が現地調査を進める。
 規制委はこうした断層について独自の調査も実施する方針。結果次第では、廃炉に追い込まれる可能性がある。

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 政府は昨年7月、原発の安全評価(ストレステスト)を導入。1次評価を再稼働の条件とし、保安院の審査結果を原子力安全委員会が確認し、首相と経済産業相ら関係3閣僚が再稼働の可否を判断するとした。関電大飯原発3、4号機(福井県)は野田佳彦首相と関係閣僚の協議で新たに安全基準を設けて最終判断。今年7月に再稼働した。
 しかし規制委の発足で、これらの枠組みは振り出しに戻る。首相は規制委が安全確認をした原発について再稼働させる方針を示しているが、安全評価の取り扱いなど、規制委の安全確認のプロセスは決まっていない。
 来年夏ごろまでに安全性の基準を設けるが、それまでの再稼働をどう判断するかも焦点となる。
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