[2012_08_21_01]東海、東南海、南海地震 7世紀にも「3連動」か 参総研 津波堆積物で確認(東奥日報2012年8月21日)
 文献に記された最古の南海地震「白鳳地震」(684年)と同じころ、記録にはない東海地震が発生したことを示す津波堆積物を産業技術総合研究所(茨城県つくば市)の藤原治主任研究員らが静岡県で確認したことが20日、分かった。同時期の津波堆積物は東南海地震のエリアでも見つかっており、3地震がほぼ同時に起きたことが確実になった。三つの地震が時間差なく発生した3連動地震の可能性もある。
 西日本全域に甚大な被害を与える南海トラフでの3連動地震は、これまで宝永地震(1707年)が確認されているだけだった。巨大な連動型地震の繰り返し間隔や規模を考える手掛かりになるとともに、国の被害想定や防災対策の見直しに影響を与えそうだ。
 「白鳳東海地震」を初めて立証する貴重な発見で、藤原主任研究員は「同時か時間差かは断定できないが、震源域は南海トラフ全域に及んだはず。今後は当時の地形を復元し、津波の遡上(そじょう)高を調べたい」としている。
 調査したのは、静岡県磐田市の太田川河口から約2・5キロの元島遺跡と、さらに500メートル上流の河川改修工事現場。藤原主任研究員らは、両地点で深さ約5メートルの地層に四つの砂層があるのを確認。海から運ばれた貝の化石や鉱物を含み、堆積構造が海から陸へ流れ込んだ状況を示していることから、洪水ではなく津波と判断した。
 炭素同位体による年代測定で7世紀後半、9世紀後半、11世絶後半、10世紀後半と判明。南海トラフを震源域とする白鳳南海地震、仁和南海地震(887年)、永長東海・東南海地震(1096年)、明応南海地震(1498年)と一致した。仁和南海地震も、同時期の東海地震を示す文献は見つかっていなかった。
 白鳳時代の津波堆積物は三重、高知、大分の各県で確認されており、四国と九州では宝永地震に匹敵する規模だったことが判明。東南海・南海の2地震が連動した可能性が指摘されていた。仁和地震の痕跡は白鳳地震より少なく、規模も小さいと推測される。埼玉県熊谷市で開かれる日本第四紀学会で21日発表する。
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