[2012_03_17_04]宮城沖・笠貝島 津波遡上高43Mか 震災最大の可能性 (東奥日報2012年3月17日)
 宮城県女川町沖の無人島・笠貝島で、東日本大震災の津波の遡上(そじょう)高(陸地の斜面を駆け上がった高さ)が約43メートルに達したとみられることが10月、東京大地震研究所の郡司嘉宣准教捜の調査で分かった。
 東日本大震災の津波遡上高ではこれまで、土木学会の特別委員会が岩手県宮古市で国内観測史上最大の39・7メートルに達したとの調査結果をまとめている。都司准教授は「笠貝島の津波は大震災で最大だった可能性がある」としている。
 都司准教授によると、島は周辺の海の浅い部分から津波のエネルギーが集中し、津波が高くなりやすい。同種の現象は岬などでも起きるとみられ、安政東海地震(1854年)では、志摩半島で周辺の津波が5〜10メートル程度なのに局地的に20メートルを超えた所があった。
 都司准教授は、笠貝島で松などの樹木が倒され津波が到達したとみられる痕跡を確認。島に上陸できなかったが、近くの島から望遠レンズで撮影し分析した。
 笠貝島に置かれた標高31・9メートルの三角点との比較では、津波痕跡は43・3メートルに達していた。ただ写真を基にした推定であり、上陸して測定していないため、1メートル前後の誤差はありうるという。
 女川町教育委員会によると、笠貝島に近い江島の住民からは「笠貝島全体が津波をかぶったようにも見えた」との証言も寄せられた。
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