[2012_02_28_01]大震災大津波の威力 「明治三陸」の2.5倍(東奥日報2012年2月28日)
 東日本大震災の大津波により損壊した釜石港(岩手県釜石市)の湾口防波堤には、1896年の明治三陸地震で起きた大津波の約2・5倍の力が加わっていたことが27日までの港湾空港技術研究所(神奈川県横須賀市)の分析で分かった。
 津波が防波堤に衝突する際には、少なくとも内側との水位差分の力がかかるが、今回釜石港では津波が防波堤を乗り越えたことで、水位差より大きな力が発生したとみられる。
 研究所の有川太郎上席研究官によると、津波が防波堤を越えて内側に流れ込んだ際に大きな渦などが発生、単純に水が押し寄せた場合より力が増大した。防波堤の海側と内側との水位差は約8〜9メートルだったが、実際にかかった力はそれより10〜15%程度大きかったとみられる。
 研究所では60分の1スケールの防波堤模型を作るなどして壊れる様子を調べた。
 有川上席研究官は「防波堤は、一定の力を超えると壊れ始め一気に崩壊してしまう。徐々に優れるような粘り強い構造が必要だ」と話している。
 明治三陸地震の際、現在の釜石市には約8メートルの津波が襲来。東日本大震災では防波堤に最大で高さ約12メートルの津波が到達したと推定されている。
 釜石港の防波堤は、全長約2キロで2009年に完成。防波堤としては世界最深の水深63メートルに基礎石材がある。同研究所は防波堤がない場合より市街地への津波襲来を6分間遅らせたとの研究結果も明らかにしている。
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