【記事58310】原子力規制委_火山灰濃度新基準導入へ(MBC南日本放送2017年9月6日)
 
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原子力規制委_火山灰濃度新基準導入へ

 原子力規制委員会は、原発の火山対策を強化するため、噴火が起きた際に原発が耐えられる火山灰の濃度の基準を大幅に引き上げる見通しです。
 当初の基準からは1000倍の引き上げとなる見込みで、九州電力は「1万3000年前の桜島噴火の降灰量を想定し、新しい知見で対応していきたい」としています。
 福島第一原発事故を受けた原発の新しい規制基準では、噴火で火山灰が飛来した場合でも、非常用ディーゼル発電機が正常に動くよう、空気を取り入れるフィルターが目詰まりしないための対策を求めています。
 2年前に川内原発が再稼働した際にも、判断基準となった火山灰の濃度の基準は当初、2010年にヨーロッパ各地で空港の閉鎖や航空便の欠航が広がった、アイスランドの噴火を参考にして、大気1立方メートルあたり3.3ミリグラムの火山灰を想定し、その後、さらにその10倍規模の火山灰にも耐えられることが求められました。
 しかし、巨大噴火が発生し、さらに高濃度の降灰に見舞われるリスクがあるとの指摘もありました。規制委では、外部の専門家などとも議論し、今年7月、新たに規制基準の火山灰濃度を引き上げ、より厳しくする方針を決めました。
 川内原発では1万3000年前に起きた桜島の巨大噴火を想定し、火山灰が24時間で15センチ積もったと仮定した場合、大気1立方メートルあたりの火山灰の濃度基準を、当初基準の3.3ミリグラムの1000倍となる3.3グラムに引き上げ、基準を厳しくする見込みです。
 原子力規制委員会によりますと現在、基準案を作成中で、具体的な導入時期は未定としています。
 これについて6日、薩摩川内市で開かれた市や九電、地域住民らによる川内原発安全対策連絡協議会では、九電の担当者が「新しい知見で対応していきたい」と述べました。

 (川内原子力総合事務所 藤原伸彦所長)「もう少し厳しい基準をつくるべきとの話になって、フィルターの目詰まりをどうするのかというのが、いま検討中の課題」
一方、規制委員会から助言を求められた専門家は・・・
 (鹿児島大学 石峯康浩特任助教)「海外の噴火のデータを日本で想定される大規模噴火に適応させている。(現在の基準は)少し無理があるという印象があった。もう少し高い火山灰濃度で、実際にインフラに影響があるかもしれないと指摘した」
 九電は新たな基準への対応として、フィルターを複数にして、カートリッジで短時間で取り替えることなどを検討していて、噴火による大量降灰の際にも「稼働を続けることに影響はない」としています。


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