【記事34040】川内に噴火リスク 最多 火山研究者原発アンケート 29人中18人が指摘(西日本新聞2014年4月21日)
 

川内に噴火リスク 最多 火山研究者原発アンケート 29人中18人が指摘

 火山活動が国内の全17原発に及ぼす危険性について、西日本新聞が全国の火山研究者にアンケートしたところ、噴火被害を受けるリスクがある原発として、九州電力川内原発鹿児島県薩摩川内市を挙げた人が回答者29人のうち18人に上り、最も多かった。 川内は原子力規制委員会が新規制基準への適合性を優先的に審査しており、今夏にも再稼働する可能性があるが、13人は「再稼働に反対」と回答。火山リスクの議論が不十分なまま再稼働に向けた手続きが進む現状に、危機感を抱く専門家が多いことが浮き彫りとなった。
 アンケートは火山学を専攻する全国の大学教授、准教授ら83人に依頼し、郵便やメールで送付した。
 全国の原発で、最大60年の稼働期間とその後の使用済み核燃料の保管中に、周辺の火山が噴火した場合、火砕流などの被害を受けるリスクの有無を原発ごとに尋ねたところ、姶良あいらカルデラ鹿児島湾北部から約40キロ北西にある川内は18人が「リスクがある」と回答。次いで泊北海道15人、東通青森13人の順となった。熊本県の阿蘇カルデラから最短で約120キロ北西に位置する玄海佐賀県玄海町も8人が噴火被害の可能性を指摘した。
 原発は火砕流が直撃しなくても、大量の降灰で電線の切断や建物への影響などが懸念される。各原発の再稼働について是非を尋ねたところ、「再稼働すべきでない」は川内が13人で最多。泊10人、東通8人が続き、玄海も6人が再稼働に否定的だった。3人は全ての原発について「再稼働すべきでない」と答えた。
 規制委は川内の火山影響について2回の審査で「影響なし」と結論付けた。規制委の審査について「あまり議論が尽くされていない」「全く尽くされていない」は計14人に上り、「火山学からの検証が不十分」との見方が多かった。
 原発から出る放射線量の高い廃棄物について、政府は地下300メートル以下に埋める「地層処分」を目指しているが、10万年単位の管理が必要とされる。「その間に巨大噴火が起こるのは確実。安全な保管が本当にできるのか疑問だ」三宅康幸信州大教授との見解も複数寄せられた。
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