【記事42450】断層帯の活動が連鎖 南北に広がり(熊本日日新聞2016年4月21日)
 
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断層帯の活動が連鎖 南北に広がり

 熊本県に始まった地震活動は、阿蘇山を越えて九州中部を横切り、大分県域まで拡大した。14日の地震をきっかけに、より規模が大きな地震が16日に発生し、地盤にかかる力が変化するなどして複数の断層帯の活動が連鎖したと考えられている。

 引き金になったのが14日午後9時26分に起きたマグニチュード(M)6・5の地震だ。北東−南西方向に走る「日奈久(ひなぐ)断層帯」の北寄り部分が動いた。15日夜には余震の数も減り、活動はいったん収まるかにみえた。気象庁はこれが本震だったとみて「熊本地震」と命名した。

 状況が一変したのは16日午前1時25分。14日より北側でM7・3の地震が発生した。動いたのは、日奈久断層帯の北側に接するように東北東−西南西方向に走る「布田川(ふたがわ)断層帯」の一部。長さ27キロ、幅12キロの断層が3・5メートルずれたと推定され、前回より約16倍大きなエネルギーが放出された。

 これが断層活動が連鎖する一因になった。周辺の地盤にかかる力が変化したり、地震波が伝わったりして別の断層帯の動きを誘発したらしい。

 16日午前3時すぎには、布田川断層帯の延長線上にある熊本県阿蘇地方でM5・8の地震が連続して発生。同午前7時すぎには、さらに北東にある大分県でM5・3の地震が起きた。大分の周辺には複雑に入り組んだ「別府−万年山(はねやま)断層帯」がある。当初は動いていなかった日奈久断層帯の南寄り部分も活動したとみられ、19日に熊本県南西部でM5・5の地震が起きた。

 気象庁は結局、16日が本震で、14日は「前震」だったと見解を改めた。
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