【記事47930】阿蘇山噴火 300キロ先 高松でも降灰(東京新聞2016年10月9日)
 
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阿蘇山噴火 300キロ先 高松でも降灰

 福岡管区気象台は八日、熊本県の阿蘇山・中岳(なかだけ)第一火口で発生した爆発的噴火による火山灰は北東方向の広範囲に拡散し、熊本、大分、愛媛、香川の四県二十四市町村に及んだと明らかにした。阿蘇市や大分市、松山市などで、灰が到達した高松市は、火口から三百キロ以上離れていた。
 熊本地震から間もなく半年。復旧が進められる農業や観光業に降灰などの火山災害が追い打ちを掛ける可能性がある。阿蘇市と南阿蘇村の主要ホテルや旅館では八、九の両日、少なくとも延べ約三百人分のキャンセルが出た。
 九州電力によると、八日午後、熊本、大分両県の計約二万七千戸で停電が発生。降灰や雨の影響とみられる。
 熊本県によると、噴石による被害は住宅やビニールハウス以外でも確認され、火口から約七キロ離れた地点に止めてあった車のリアガラスの破損が見つかった。気象庁は、火口から約六キロ地点で約三センチの火山灰が積もっていたことを確認した。
 気象庁によると、マグマや熱水の移動を示すとされる火山性微動は、八日午後から振幅が小さくなっているが、地殻変動から地下深部のマグマだまりが膨張している可能性があり、引き続き同程度の噴火への警戒を呼び掛けている。
 阿蘇山上の観光名所に通じ、約十キロにわたり全面通行止めとなった県道阿蘇吉田線は九日朝に部分解除される。JR豊肥(ほうひ)線でも阿蘇−豊後竹田間で運転を見合わせていたが、九日に再開される。
 一方、福岡管区気象台は、阿蘇山の爆発的噴火による降灰は高知県では確認されなかったと訂正した。
 <阿蘇山> 熊本県にある活火山で、気象庁が24時間態勢で監視する「常時観測火山」の一つ。東西約17キロ、南北約25キロの巨大なカルデラ内にある主峰の高岳(標高1592メートル)など十数個の小火山(火口丘)で構成されている。特に中岳(同1506メートル)は有史以来、噴火を繰り返しており、数個の火口が南北約1.1キロの範囲で連なる「複合火口」になっている。近年は北端の第1火口が最も活動的となっている。


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