【記事09612】伊豆地方大震災 今暁四時三分豆相(ずそう)一帯に 惨死者二百名に達す(東京朝日新聞1930年11月27日)
 
※以下は地震関連の見出しと重要と思われる部分をテキスト化したものである

○伊豆地方大震災 今暁四時三分豆相(ずそう)一帯に 惨死者二百名に達す
 二十六日午前四時三分、突如として北伊豆地方を中心に東海、関東一帯にわたる大激震あり去る大正一二年の関東大震災に次ぐ大惨害を引起した、地震と共に帝都と伊東、熱海、箱根、三島、修善寺、長岡、下田及び八丈島方面の電信電話は一時全く不通となり、東海道本線は御殿場、裾野間の土砂崩壊のため一時間半不通となり、さらに熱海線根府川熱海間はようやく午後二時に至って開通を見たが、震害地より本社に達した刻々の情報は意想外の惨状を伝え午後二時までに判明せる惨死者は実に二百名を超え、全壊家屋三百戸、半壊数千戸に上り、しかして死傷者及び半壊の家屋は更に更に多数に上る見込みであるが、伊東、三島、韮山、長岡等では地震と共に火を発し焼失家屋約三百五十戸、豆相の著名の温泉地はあるいは全滅し又は惨禍のちまたと化した
○熱海方面の惨状甚し 小学教員住宅で死傷者多数
○伊東町では六十戸焼失す
○長岡も大場も火災中 三島方面には第三師団出動
○各地の被害状況 警保局発表
○両陛下に刻々奏上 畏くも御心痛あらせらる
箱根は死傷者九名
○小田原方面
○沼津御用邸損傷す
○静岡地方 浜松地方 
○皇族方御別条なし
○沼津地方 政府応急策協議 被害の結果見た上で減免税行われん
○第二予備金支出せん 大蔵省の意向
○震源地は韮山東方 午後二時気象台から発表
○今春以来頻発の地震とは関係無し 通常の大地震の性質を帯ぶ 今村明恒博士の談
 「今朝の強震は帝大地震学教室観測計では発震時午前四時三分八秒となっており十三秒の後主要動となり周期一・七秒につき二・一センチメートルの振幅を示したこの故に震度は重力の加速度の二部九厘に当たるただし?震後三・七秒の後一層大きい地震が加わってきた模様がみえる、従って地震の大きさも主要動力の到着後次第に大きくなりおよそ三十秒の後においては十四・六センチメートルの大きさに達した、しかし震動の周期は一〇・五秒というほどの緩慢な震動であったkら人体には単に船の動揺を感ずる程度に過ぎなかった震動の人体に感じた時間は五分間程であったが十倍の地震計には二時間半も??記録しているまた初動の方向は北五十三度東の上方動であるから震源の方へは右と反対な向きをとりそれは観測地からおよそ百キロメートルの地点に当たり丁度伊豆、駿河湾堺に相当する、昨日この地震学教室の那須、?上?理学士が地震計を三台もって伊東方面に向け現場観測に出かけた、その意味は伊豆の地震の震源地を正確に測定する積りであった、なお本年三月から伊東で観測中の結果とこれ??理学士との観測の結果を綜合して見るなら一時??な震源地の位置が定まるであろう、これを?するに今回の地震は本春以来伊東付近において発生しつつあった局部性のものと異なり通常の大地震の性質を有しているなお将来の事に関してはこの教室にあるだけの機械では判断がつかないから、も少し現場の様子を調査した上でなければはっきりしたことはいえない」
○関東関西にわたる地震 丹那トンネル亀裂を生ず
 [鉄道省午前十一時半発表]丹那トンネルの西口(大竹口)は各所に亀裂を生じ濁水多量に流出す、トンネル内にも崩壊数カ所あり工事不能であるトンネル内に作業中の人夫五名は生死不明で救護の手配中、東口(熱海口)は異状なし
○八名死傷す 熱海線真鶴駅の惨事

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KEY_WORD:KITAIZU_:今村明恒博士: