【記事74370】震源特定できない原因 首都圏も危ない“隠れ活断層”の脅威(日刊ゲンダイ2018年9月11日)
 
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震源特定できない原因 首都圏も危ない“隠れ活断層”の脅威

 最大震度7の強烈な北海道胆振東部地震の震源は、いまだに特定されていない。地震調査委員会は、発生現場近くの「石狩低地東縁断層帯」ではないと言ったきり。6月の大阪府北部地震(最大震度6弱)も、周辺の有馬―高槻断層帯や生駒断層帯が動いた証拠はなく、震源の特定は迷宮入りの様相だ。どうやら、2つの大きな直下型地震は、名前も付けられていない“隠れ活断層”の仕業であることが濃厚だ。 政府の地震調査研究推進本部の用語解説では「我が国の陸域には約2000の活断層があるとされています」とある。立命館大学環太平洋文明研究センター教授の高橋学氏(災害リスクマネジメント)がこう言う。

「『約2000の活断層』は、発見できた数に過ぎません。これらは一部が表土に露出していたり、埋まっていても容易に確認できた断層です。このほかに、確認できていない断層が少なくとも数万個以上はあると考えられています。さらに、活発なプレートの動きが日本列島を刺激して、新たな断層も生まれています。われわれは地上にいる限り、地下の活断層をほとんど把握していないと認識すべきです」

 数万個のうち、たった2000の活断層しか知らないのだから、震源を特定できないのもうなずける。地道な調査で、隠れ活断層をコツコツ見つけるしかないわけだが、至難の業だ。とりわけ、火山灰が堆積している地域は活断層を見つけるのが難しい。九州、東北、北海道のほか、関東ローム層の首都圏が挙げられる。

「東京の山の手エリアは富士山、箱根山、浅間山などの火山灰で覆われていて、7〜14メートルほどの層になっている。その下の活断層を確認することは、現在の技術ではほとんど不可能です。また、首都圏はビルや住宅などが立ち、地表を塞いでいる。調査のためにわざわざ掘り起こすというわけにはいきません」(高橋学氏)

 隠れ活断層がある以上、直下型地震はいつ、どこで起こってもおかしくない。とすると、原子力規制委の新規制基準は滑稽に見える。基準では「活断層」の真上に原発の重要施設の建設を禁じているが、あまたの隠れ活断層は視野の外だ。2つの地震は、隠れ活断層の脅威を見せつけた。もはや、日本中のどこを探しても、原発を置ける場所はないんじゃないか。

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