【記事65460】草津白根山噴火、2次被害の恐れ 解けた雪が流れ出す「融雪型火山泥流」も(スポーツ報知2018年1月25日)
 
参照元
草津白根山噴火、2次被害の恐れ 解けた雪が流れ出す「融雪型火山泥流」も

 23日に噴火した群馬県と長野県の境にある草津白根山の本白根山(もとしらねさん、2171メートル)で、解けた雪が土砂を巻き込んで流れ落ちる「融雪型火山泥流」が起こる可能性があることが24日、分かった。広範囲に被害が及ぶこともあることから、専門家は積雪期の噴火では最も警戒すべき災害と指摘。気象庁によると、草津白根山ではこの日も火山性微動を4回観測しており、再度の噴火が起きてもおかしくないとして注意を呼び掛けている。
 12人の死傷者を出した本白根山の噴火は、今後さらなる大災害を起こす可能性があることが明らかになった。
 火砕流など高温の噴出物で雪が解け、大量の水が流れ出して起こる「融雪型火山泥流」は、積雪時の噴火では最も警戒が必要な災害。泥流は時速60キロを超える高速となることもあり、広範囲に被害が及ぶため、早めの避難が重要となる。
 融雪型火山泥流の代表例が、1926年5月に北海道の十勝岳で起きた噴火。爆発で山体が崩れて起きた高熱の岩屑(がんせつ)雪崩が雪を解かし、大規模な泥流が発生した。25分間で25キロ先まで到達。噴火の死者・行方不明者140人余りの多くが、泥流の犠牲者だったという。
 産業技術総合研究所などの分析では、火山灰には山体と非常に高温な地下水が反応してできた岩石はあったが新しいマグマの成分は見られず、23日の噴火は水蒸気噴火だった可能性が高いことが判明。また、現場には直径1メートルほどの大きな噴石もあり、早川由起夫群馬大教授(火山学)は「火砕流が起きていた」との見解を明らかにした。20センチ程度の噴石は500メートル先まで飛んだとみている。東京工業大・草津白根火山観測所の野上健治教授は、噴火口は少なくとも2か所あるとの見方を示した。
 噴火地点に近い草津国際スキー場のゲレンデは噴石であちこちが陥没し、灰に覆われて滑れない状態になっている。23日の噴火規模は小さく、泥流が発生する可能性は低いとみられるが、気象庁はこの日も午前と午後で各2回の計4回、噴火と共に観測されることのある火山性微動を確認。再度の噴火がないとは言えず、軽視は禁物だ。
 富山大の石崎泰男准教授(火山地質学)は「今後、規模の大きな、マグマを伴うような噴火が起きた場合には、(融雪型火山泥流が)発生する可能性が高くなる」と指摘。雪が多い地域の火山のハザードマップには泥流の可能性は組み込まれているとしたものの、注意を呼び掛けた。

KEY_WORD:_