【記事65450】草津白根山 火砕流1.8キロ到達か 火口2カ所 1メートルの噴石も(東京新聞2018年1月25日)
 
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草津白根山 火砕流1.8キロ到達か 火口2カ所 1メートルの噴石も

 噴火で十二人が死傷した草津白根山の本白根山(群馬県草津町、二、一七一メートル)を調査した産業技術総合研究所や火山研究者は二十四日、マグマの噴出を伴わない水蒸気噴火の可能性が高いとの分析結果を明らかにした。現場で採取した噴石や火山灰から、新しいマグマの存在を示す物質が検出されなかった。噴火の規模は小さかったとみられるが、今後の活動には引き続き注意が必要としている。
 映像を見た専門家は火砕流が一・八キロ先まで達し、二十センチ程度の噴石が五百メートルの範囲に飛んだと指摘した。
 東京工業大・草津白根火山観測所の野上健治教授(地球化学)は二十四日夕、草津町役場で記者会見し、噴火口が少なくとも二カ所あるとの見方を示した。現場には直径一メートルの大きな噴石もあった。
 産総研は火口周辺から約五百メートルにあるロープウエーのゴンドラに飛び込んだ噴石や火山灰を採取。高温の地下水と山体が反応してできた岩石はあったが、新しいマグマの成分はなかった。
 二十三日の噴火直後に山頂付近を調べた野上教授は「地下水がマグマの熱で高温・高圧の蒸気となり、爆発した典型的な水蒸気噴火だ。地震計の設置など観測を強化する必要がある」と話した。
 防災科学技術研究所によると、降灰は火口周辺から北東に七〜八キロ、幅は二キロ以上に及んだ。噴火地点に近い草津国際スキー場のゲレンデは噴石であちこちが陥没し、滑れない状態になった。
 専門家によると、本白根山の鏡池から、さらに北側にある火口で噴火し、火砕流や高速で流れる「火砕サージ」が発生した可能性もある。
 スキー場で雪上訓練中に死亡した陸上自衛隊員は伊沢隆行さん(49)であることが関係者への取材で判明した。
 群馬県によると、伊沢さんの死因は背中に噴石が強く打ちつけられたことによる出血性ショックだった。負傷者も噴石による被害とみられる。

◆火山性微動 計4回観測

 気象庁は二十四日、草津白根山で同日午後、火山性微動が二回、発生したと発表した。午前に発生した二回と合わせて計四回の微動が観測されたが、いずれも振幅は小さかった。今後も噴火が発生する可能性があり、本白根山の鏡池付近から二キロの範囲では、噴石などに警戒が必要だ。
 気象庁によると、微動は午前十時台と午後二時台にそれぞれ二回、最長四分程度継続した。二十三日に六百回を超えた火山性地震は、二十四日は二十回を超える程度だった。微動は地中でマグマや熱水などの流体が移動することなどが原因で発生するとされる。

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